機龍警察 未亡旅団 (ハヤカワ・ミステリワールド)

4.23
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本棚登録 : 407
レビュー : 63
著者 :
しろコシオさん 月村了衛   未設定

もうスゴイ、圧倒的、言葉がない、かくて機龍警察シリーズと月村了衛氏は自分の中で神となった。

今作について何か語ろうとする時、何から手をつけていいのか?様々な出来事が乱立し、無駄は一切なくて、それぞれに濃密なる意味とカタルシスがあり、過去作品との繋がり、キャラクターが交わることにより発生する彼らの内省の変化…敵味方合わせて膨大すぎるのだ!それなのに苦もなく読ませる筆力、神と言わざるをえない。

それでも特に己に残った部分は、由紀谷警部補とカティアの邂逅、そして第2章「取調べ」だった。

由紀谷警部補はシリーズを通して特に印象深い、笑顔の優しいイケメンらしいし、時折覗かせる闇も、彼の警官魂の熱さと、壊れやすくて儚げ感も、読者の心を鷲掴みにしてきた。今作では冒頭から、彼とテロリストである少女カティアの出会いが描かれる。もうこの先の予感だけで心震えた。

女だけのテロ集団「黒い未亡人」過去最強の敵である、その尖兵であるカティアと由紀谷が正面からぶつかる「取調べ」シーンはシリーズの中でも例がないシーンであり、由紀谷、カティア双方の心の叫び、慟哭、咆哮が切り刻みあって、少女テロリストと警官、あまりに違いすぎる二人の融和が描かれる。息詰まる展開の果てにとうとう重要情報の引き出しに成功するものの、さらに重大な事実が暴かれて…とクライマックスとなる。こういう繋ぎも含めてほとほと上手い。

最後の章はいつも通りのアクション、スリル&サスペンスシーンで安心感のある面白さ。見えざる「敵」の正体もやや浮き彫りになりつつあった。

総じて語りたいことたくさんありすぎる!キーワードだけでもあげておくことにする。

由紀谷とカティアの二重写しのように描かれる、シーラと○○の出会い、そして日菜子との関連、
鬼子母神、
「取調べ」でユーリが由紀谷にかけた言葉「自分自身を信じろ」、
決死の作戦に就くこととなったカティアにライザがかけた言葉「おまえは私より強い」、
すっかり癒し系なカンジの姿警部と缶コーヒー、
最強の敵「黒い未亡人」とのガチ対決「姿vs風の妻ファティマ、ライザvs剣の妻ジナイーダ」、
城木警視の心象変化とっても危険な兆しが見える、
母を亡くした子、母に捨てられた子、
新キャラ桂女史ステキだわ~

そして何よりチェチェン紛争、これは事実なのである。

ラストはカティアから由紀谷への手紙で締めくくられる、滂沱の涙必至であり、最高の読後感であった。

まだあった!馬面の曽我部警視、公安外事第3課長けっこういい奴じゃない?今回出番多くて沖津を食ってたような?よいキャラなので今後の活躍に期待である。

レビュー投稿日
2014年11月19日
本棚登録日
2014年11月17日
3
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