世間さまが許さない!: 「日本的モラリズム」対「自由と民主主義」 (ちくま新書 777)

著者 :
  • 筑摩書房 (2009年4月1日発売)
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感想 : 16

「自由と民主主義」と、
「日本的モラリズム」のミスマッチについて。

「自由と民主主義」は要するに、法律があって、
「しなければいけないこと」
「してもしなくてもいいこと」(自由)
「してはいけないこと」
の3つに分かれている状態。

もしくは、
内心=自由
ルール違反でない行動=自由
ルール違反の行動=自由ではない
とも書いてあった。

「日本的モラリズム」は、
みんなが同じモラルを持っているはずだ、と考え、
「世間さま」をモラルの基準とする。
「世間さま」が許容するならそれは有り、
「世間さま」が許容しないならそれは無し、ということ。


この本で面白かったことは、なんとなく「民主主義」=善、と刷り込まれてきたところに、
「民主主義に向いた民族」とそうでない民族がいるんだよ、
向いていないことを無理してする必然性があるのか?
と言っているところ。
日本の民主主義にはこんな歪みが出ているけど、それは日本人がダメなんじゃなくて、
日本人と民主主義が合わないからだ、と言っている。

じゃあ民主主義を排して、「世間さま」の意見が国を導く「世間さま制」にすればいい。
イスラム教国にも、民主主義を取り入れずやっている国はある。
ちゃんとしたシステムを築きあげたら、日本人だってやっていける。という結びでした。


確かに、「ルール的にはOKだけど、なんか間違っている気がする」と思わされることは
枚挙にいとまがありません。

それから、「モラリズム」は「心」で、「民主主義」は「システム」で。
何か問題が起こったら「意識の問題」「倫理観の問題」に持っていく日本人は、
そもそもロジカルな思考に向いていないということ、いたく共感します。

著者が思考実験する「世間さま制」、単純な僕には良さそうに見えてしょうがないです。
誰か素養のある人が建設的な批判をしてらっしゃるなら、ぜひ読んでみたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2011年9月22日
読了日 : -
本棚登録日 : 2011年9月22日

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