ギーヴの離脱。快進撃のアルスラーン軍。そして、エトワールとの再会。
新旧アルスラーン傘下のいざこざ。武人に新しく加わったイスファーン、ザラーヴァント、トゥースたち。彼らにとってダリューン、キシュワードの万騎長二人は、どう頑張っても勝ち目のない実績の持ち主。ここに関しては、問題はないけども、ギーヴのような存在は、どうもいけない。そうでなくても、ギーヴという人間自体が胡散臭いので。読み手としたら、ギーヴは魅力的で好感を持つのですが、いざ友人でなく同僚として考えると、首肯はしにくい御仁であります。
イスファーン、ザラーヴァント、トゥースの新人トリオは、トゥースがまとめ役となっていて楽しい。後々、トゥースは予想外の私生活を見せてくれるけど、今の彼のイメージからは想像できないよなぁ。アイゼナッハが、どうやって奥さん口説いたんだ?と同じです。
聖マヌエル城で出会ったアルスラーンとエトワール。
アトロパテネ後、新たな世界で新たな価値観を構築しつつあるアルスラーンと、己の価値観に縛り付けられているエトワール。暴論を振りかざすエトワール。容赦なく論破するアルスラーン。宗教を盲信するあまり、思考放棄していたエトワールには酷な仕打ち。アルスラーンにはナルサスをはじめとする教え手がいて、彼らの薫陶あっての現在。エトワールには、誰が教え手となって導いてくれるのか。
アルスラーンが突きつけた「大切なものだからこそ、自分の都合のいいように振り回してはいけないのではないか?」
正論であるから急所を突く。それは、エトワールも薄々感じていたことであるから尚更。個人の感情を一つの精神で塗りつぶす側面があるから、宗教の盲信は恐ろしい。
- 感想投稿日 : 2022年1月4日
- 読了日 : 2019年5月10日
- 本棚登録日 : 2019年5月10日
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