葛城剛志さんの感想・レビュー

股間若衆 男の裸は芸術か

木下直之

• 新潮社 (2012年3月30日発売)

　現代社会においては逆に規制が厳しいと思われる「猥褻」という概念を裸体彫刻作品の股間部分から（文字通り）切り取ったエッセイ集・・・なのか？
いや、文化に対する評論とか規制に対する批判を展開するのかと思っていたら「股間表現の多様性」という名の「珍妙な苦肉の策」を紹介する事から始まる。
その方法、単純に足の位置で隠すことから高度な抽象化・パンツ着用・偶然イチジクの葉がふわりと様々である。

　後半は歴史的経緯や彫刻から一歩踏み込んで写真に出てくる裸体表現についても論じているのだが、全体的な統一感に乏しいと思われたのは三つの独立したエッセイを一冊の本にまとめているからか。
別に悪くはないのだが彫刻の股間表現についてもっと奥の所まで踏み込むのかと思っていたので肩透かしを喰らった印象だ。

感想投稿日 : 2024年2月20日

読了日 : 2023年12月15日

本棚登録日 : 2024年2月13日