海と毒薬 (講談社文庫 え 1-1)

著者 :
  • 講談社 (1971年7月1日発売)
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勝呂は自身の良心と正義を抱きながら、戦時下という時代背景や大学病院での自分の立場の弱さ、権力というものに挟まれ苦悩しながら自分なりの抵抗をしてみるが、努力もむなしく結局は周りに流されてしまう。なんとも、救いようがなく胸糞悪い。
死にゆく患者を救えず、医学の発展のためだと人を殺す。それは、勝呂の医師としての自尊心も大義もなにもかもを揺るがすものになったに違いない。

この作品は、人体実験を取り上げながらも登場人物の見栄と欲望、嫉妬がちらちらと見え隠れする。汚れながらも不器用に生きていく人間の姿、周囲をうまく利用してずる賢く生きている人間の姿が描かれている。彼らは生体解剖の場に立ち会いう。しかし、そのような人達が生体解剖の後、どう感じてその後どうなるのか、それは描かれておらず私たち読者に丸投げである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2014年4月7日
読了日 : 2014年4月7日
本棚登録日 : 2014年4月7日

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