先日、ウクライナのゼレンスキー大統領が平和公園を訪問したことにより、『ちびまる子ちゃん』の放送が中止になりました。すると、『ちびまる子ちゃん見ないと日曜日が終わらない』『楽しみにしている子どもの気持ちも考えて!』なんて声がTwitterにあがったようでネットニュースになっていました。日本って平和だなー、と職場の人たちと笑い合いました。
その後、本書を読んだのですが、ネットニュースを見て苦笑している私自身が、この物語の登場人物たちに『あなたの頭の中も平和ですね』と苦笑されてしまうだろう、と恥ずかしくなりました。
物語の主人公はインド、イタリア、カナダの三人の女性。それぞれの生きる場所で女性であるが故に抑圧され差別されている。中でもインドの章では初めて知ることばかりが書かれていて心が震えるほどの衝撃を受けました。こんなことが同じ地球上で起こっているなんて、俄かには信じられません。
でも、これが紛れもない現実です。恵まれた日々を送っている自分には知り得なかった現実。
カナダの登場人物も、初めは恵まれた側の人間だったのですが、ある日を境に差別される側になります。ここが、本書の優れた点のような気がします。差別される側になることにより初めて自分が今まで知らずに差別していたことに気付く。
そして、三人とも力強く前を向いて進んでいくことを選ぶ。
素晴らしい本に出会えました。何よりも怖いのは知らないことです。私に様々な現実を教えてくれた本。映画化も予定されているようなので、ぜひ観たいと思っています。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年5月28日
- 読了日 : 2023年5月28日
- 本棚登録日 : 2023年5月28日
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