バチカン奇跡調査官 終末の聖母 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2013年11月25日発売)
3.11
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本棚登録 : 57
感想 : 6
3

シリーズ通して読んでいます。
いつもちょこちょこと気になる事がありつつも、オカルト好きなので読まずにいられないのですが、巻を増すごとに内容の面白さの方が勝ってきて、重箱の隅をつつくことはしませんでした。
しかし、今回は良くも、(少しだけですが)悪くも、感想が書きたくなるような内容だったので、思ったことを書かせていただきます。

すでに8作目となっているので、物語の最初のほうで起こる奇跡も、また怪しい麻薬の類の幻覚なんでしょ!と思いつつ読んでいたら、最終的にはSFめいたオチだったので驚きました。

これに関しては、よくぞここまで壮大なスケールの話が思いつくよ!と手放しで賞賛したいです。凄いです。まるでトンデモ本を読んでいるようでした。

しかし、あまりにも遠い着地点へ向かってガンガン進んで行くので、話を読むにつれて、「あれこれ何の話だっけ?あ、十字架が浮かんだった」みたいな感じになってきて、ラスト50ページほどは平賀の薀蓄が延々と続き、読み終わった時は疲労感でいっぱいでした。

彼は丁寧にわかりやすく説明してくれるキャラですが、読んでいるこっちは、わかったような、わからんような。
わからんのは自分の頭が悪いのかな?
いや私はこんな話を読もうと思ってなかったよ?などと思わせられる程です。
よく、薀蓄を読ませるのも小説化の力量のうち、と言われていますが、その点においては力不足が否めないのではないか、と思います。


今回は調査官2人の目の前で奇跡が起こったので、素直にはしゃぐ平賀が微笑ましいと思いましたし、ちょっと神父らしくないセリフを言うようになったロベルトも面白かったですが、それでも基本的に、このシリーズにでてくる人物はあまりキャラ自体に魅力がないような気がします。
神のしもべばかりなので、どうしても行動や言動が形式ばってしまうのは仕方がないと思っていましたが、特に今回は薀蓄が多かったので、ロベルトも平賀も知識が豊富すぎて逆に違和感を覚えるというか、人間味のなさに拍車がかかっていたと思います。
まるでコンピューターのような知識を持っている割には、読んでいる方は伏線に気が付いているのに、登場人物は気が付いていないということもあって、妙な感じでした。
セリフを喋らされて、都合のいいように動かされる駒、という感じでしょうかね。
この点は自分でもちょっと辛辣な事を書いている自覚はありますが、ここさえ良ければ……と、思うことが多いので、期待を多分に含めていると捉えていただけるとありがたいです。
爆弾のくだりはコミカルで面白く、興味深い内容でよかったです。
同じ見開き内で同じ人物が、「すごい」と言ったり、「凄い」と言ったりしていましたが、これは校正の方のお仕事でもあるのでここで書くことでもないような気がしました。すみません。

9冊目もすでに出ていますし、勿論私も読ませていただくつもりです。楽しみです!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ホラー
感想投稿日 : 2014年12月6日
読了日 : 2014年12月5日
本棚登録日 : 2014年12月5日

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