- バチカン奇跡調査官 ウエイブスタンの怪物 (角川ホラー文庫)
- 藤木稟
- KADOKAWA / 2024年8月23日発売
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私には少し文体が合わなかった。
会話のキレが悪く、無駄が多いので水っぽいというか、、、。
「もしもし」
「もしもし」
「乾杯」
「乾杯」
みたいな感じが、冗長な印象。
テーマや大枠の設定に惹かれたからこそ、うううん悔しい。
密度が欲しかった、、、。
2024年9月9日
- 天狗屋敷の殺人 (新潮文庫 お 117-1)
- 大神晃
- 新潮社 / 2024年5月29日発売
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横溝正史のオマージュという前提で読み始めた。
そう前提があると浅く感じてしまうので勿体無いと思った。
もっとプレーンな気持ちで読めば、わくわくしたのだろうか?
どうしても、「犬神家の一族」のような引き込まれるリズムや鮮烈さにかけるように感じてしまった。
遺産相続を巡って始まったというあたりはわからなくもないけれど、全体的にポップな印象だった。
逆に本家の「犬神家の一族」ロスになってしまったので、すぐに読みたい気持ちになった。
2024年6月13日
- 空の境界 the Garden of sinners 20周年記念版 通常版(上)
- 奈須きのこ
- 星海社 / 2018年1月30日発売
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尊い。
この関係性が唯一無二にして、世界観の作り込みが圧倒的。
様々な系統の宗教、神話、文化がミックスされているのが奈須きのこの世界線の面白いところだと思う。
某ネット情報では「奈須きのこが影響を受けた作家」で菊地秀行、綾辻行人、笠井潔、島田荘司、竹本健治、上遠野浩平、京極夏彦、永野護、森博嗣があげられていた。
すごくわかる。
神秘的なキャラクター、強く賢い女性像、文化の解釈、真理への探究。
わたしは京極夏彦と島田荘司、森博嗣、綾辻行人が好きなので、ツボをぐいぐい押されてしまった。
下巻の夜更かしもほどほどにせねばと思う。
2024年5月6日
- アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)
- 伊坂幸太郎
- 東京創元社 / 2006年12月21日発売
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毎日、平穏に生きていけることの尊さよ。
今日という日が平凡で当たり前に終わって眠りにつける事にこれほど感謝するなんて。
どんでん返しで有名な本作を読了した。
余韻に残ったのは「してやられた」ではなかった。
もちろん、「どんでん返し◯選」に常にランクインする程の小説としてのおもしろさは間違いない。
でも、それ以上にストーリーへの没入感と共感が心を抉った。
2024年6月16日
- 黒猫の三角: Delta in the Darkness (講談社文庫 も 28-14)
- 森博嗣
- 講談社 / 2002年7月16日発売
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相変わらずの心地よい森博嗣節だった。
「人を殺すことってなんでいけない事なの?」
「どんな理由があったらいいの?」
純粋な世界への疑問が突き刺さってきた一作だった。
このミステリはトリックであるhowを楽しむのではなく、whyとwhoを楽しむミステリだと思う。
(もちろんトリックもしっかりしている)
プロローグからすでに伏線は始まっている。
これからのシリーズが楽しみになった。
2024年4月4日
- 獄門島 (角川文庫)
- 横溝正史
- 角川書店(角川グループパブリッシング) / 1971年3月30日発売
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兎にも角にも翻弄された。
怪しいところが妖しすぎる。
ついつい気にしていると、大事なものを見逃してしまう。
高橋留美子の絵柄で脳内再生しつつ、
絢爛たる振袖が脳内に眩しかった。
2024年6月23日
- 女王蜂 (角川文庫)
- 横溝正史
- 角川書店(角川グループパブリッシング) / 1973年10月15日発売
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幼い頃にテレビで見た「女王蜂」のストーリーを思い出したくて文庫を手に取りました。
募る想いと魅入られる人生の窮屈さを感じた一作。
トリックよりも動機や人間関係の方に味があり、感情や行動、台詞におもしろさがありました。
文体の視点が映画的で、一人称がなくナレーターがいるタイプ。特別な感情移入する事なく、観客でいることができる作風です。
やはり私は美少女が好きなので、次は「夜歩く」を読む予定です。
2024年1月3日
- 変な家2 〜11の間取り図〜
- 雨穴
- 飛鳥新社 / 2023年12月15日発売
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章が短く作られているのでサクサク読みやすい。前作よりも登場人物が多いため、何回か戻って読み直したが、解説が丁寧なため謎解きフェーズはスッキリついていけた。
間取り図という仕掛けを楽しむ一作であると思っているので満足はしているが、人間の描写はやや深みが足りなく感じてしまう。
なので小説というよりコンテンツ、という印象がどうしてもあった。
中学生くらいが楽しむ本っぽい仕掛けとたまに出る社会の「えぐみ」のバランスが悩ましい。
全3作を読んで、作者の価値観の鱗片のようなものを垣間見た気がした。
家がテーマ故かもしれないけれど、子供に対しての恐怖感が強い。大人は愚かで、子供は怖い。そんな後味だった。
2024年1月14日
- 文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)
- 京極夏彦
- 講談社 / 2006年9月16日発売
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純粋とは、生死とは、弔いとは、と無意識下の価値観を揺さぶられた。
百鬼夜行シリーズの中でも本作が1番好きという感想を多数拝見して読んだが、納得の内容だった。
『謎とは知らないこと。』
知らない方が良かったことなんて、世の中溢れていて、後悔ばかりだ。
無知は罪とも思う。いつもせめぎ合っていて目を塞ぎたくなる気持ちを思い出して噛み締めてしまった。
世の中は汚い。嘘や虚栄、誤魔化しで人を利用しているのを見るのは本当に心が擦り切れる。
でもはたして純粋なことは良いことなのか?本作で強く考えさせられた。
2024年4月11日
- 文庫版 塗仏の宴 宴の始末 (講談社文庫 き 39-7)
- 京極夏彦
- 講談社 / 2003年10月15日発売
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まさに「宴」に相応しかった。
姑獲鳥の夏からはじまる百鬼夜行シリーズの面々が複雑に絡み合い、巻き込まれていった本作。
また、今回のテーマは中国系の文化。
宴の始末はそれはもう、大変であることだろう。
カーテンコールでお疲れ様と言いたい。
それほどまでに重たい一作だった。
ラスト100ページは瞬間最大風速が来る。
そのための文庫2冊の約2000ページ!
2024年3月30日
- 文庫版 塗仏の宴 宴の支度 (講談社文庫 き 39-6)
- 京極夏彦
- 講談社 / 2003年9月12日発売
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これからどんな宴が始まるのか、期待せずにはいられない。
騙す側、騙される側全てが怪しく感じる、怪しい人物こそ怪しくないと感じるのだ。
操られているのか、本当に偶然なのかも判断できないまま謎が積み上がっていった本作。
「宴の始末」を読むのも勇足になってしまいそうだ。
ちなみに講談社文庫のオリジナルしおりが上下巻で繋がるのも、嬉しいポイント。
2024年3月7日
- 文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫 き 39-4)
- 京極夏彦
- 講談社 / 2001年9月6日発売
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確かに世の中には「檻」が至る所に存在している。厳格に生きる人ほどあるのだと思う。
自ら作ったものであるならまだしも、他人に囲われるのはごめんだなと思う。
閉鎖的な田舎から上京した同級生を白い目で見るような、知らない世界を知らないから否定するような、人間の浅ましさを思い出してしまった。
それでも良く生きようと努力する人達の道行に幸あれ、という気持ちで読了した。
このシリーズは単純さと複雑さの絡み合いが最後までわからないのが魅力と感じている。
早く次の作品が読みたくなる。
2024年1月11日
- 文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫 き 39-3)
- 京極夏彦
- 講談社 / 2000年9月5日発売
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髑髏を巡り思惑が入り乱れ、朱美という女性を中心に大きな渦を描いているような一作だった。
憑き物落としはいつも、自分に何も知識がなくても関口も代わりにあたふた、ぽかん、としてくれるので臨場感を味わえる。
シリーズもここまで進んでくると、もういつもの事のように感じられる。
自分は信じるもののためにどこまでやれるのか、ついそんなことを考えてしまった。
平穏で少し退屈な毎日ほど、尊いものはないのかも知れない。自分が自分のために生きれることの幸福を噛み締めさせられた。
2023年12月2日
- ユージニア (角川文庫)
- 恩田陸
- KADOKAWA / 2008年8月25日発売
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夏のくらくらする蜃気楼みたいな本だった。
ゆらゆらして掴めそうで掴めない真実。
真実を知りたくて読み進めているのに、わからなくても神秘的でいいな、という気もしてくる。
人の揺蕩う時間をゆったりとゆったりと噛み締めていく新しい感覚のミステリーだった。
痛快な推理や動かぬ証拠とかはない。
帯には「全てを疑え!」と書いてあった。
わたしはそんな気にはならなかった。
むしろ「信じるよ」という穏やかな気持ちで読了した。
私は文庫で読んだけれど、巻末に装丁デザインの話があって、素敵なこだわりだった。
単行本でもう一度同じ話を読んでみたくなった。
2024年2月3日
- 文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫 き 39-5)
- 京極夏彦
- 講談社 / 2002年9月5日発売
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まさに「蜘蛛の巣」。
理がわからない限り抜け出せない。
知らず知らずのうちに絡め取られ、迷い込む。全てが怪しく、全てが罠。
なんとも好い読後感だった。全ての獲物を食い散らした絡新婦の圧倒的な強かさと孤高さに感情を持っていかれた。
清々しい敗北感だった。
京極夏彦の描く女性はいい。
芯が強く、知的で、思慮深く、品がある。
今までの複数の事件との関わりもあり、懐かしむ気持ちもあった。
2024年1月24日
- 文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫 き 39-2)
- 京極夏彦
- 講談社 / 1999年9月8日発売
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読後の余韻に残ったのは、自分自身の幸せの平凡さとその温かさだった。
あらゆる場面で魍魎は人に囁き、人は境界を越えてしまう。そんな偶然の絡み合いのミステリーだった。計画性の高いパズルのような事件ではなく、人が感情の揺らぎの中で蠢いていく有機性を感じた一冊だった。
それにしても榎木津はなんとも憎めない。じめっとした重い話を掻っ攫ってくれる、乾風のようなキャラクターだと思う。このキャラクター達の絶妙なバランスも面白さのひとつだと感じている。
2023年11月12日
- 古事記 (河出文庫 い 35-3)
- 池澤夏樹
- 河出書房新社 / 2023年10月6日発売
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翻訳が親しみやすく、古事記へのハードルを下げてくれた。注釈があることで、複雑な情報を処理しやすくしてくれている配慮を存分に感じた。しかし次から次へと神が生まれる。八百万とはよく言ったもので、1ページで10柱ほど生まれる。
2023年11月4日
- 古代ギリシャのリアル
- 藤村シシン
- 実業之日本社 / 2015年10月15日発売
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シシン先生節が冴え渡る!読んでいるとずっと先生の声が聞こえるような愉快な古代ギリシャツアー!
オリュンポス十二神を中心に履歴書や名言をピックアップして紹介する章は先生の溢れんばかりのギリシャ愛を感じざるを得ない。
2023年10月4日
- バルタザール・グラシアンの賢人の知恵 エッセンシャル版
- バルタザール・グラシアン
- ディスカヴァー・トゥエンティワン / 2018年8月26日発売
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正しさに悩むすべての人へ。価値観の違いで苦しんだり、生きにくいと感じたり、そんな時の処方箋。
正しく生きようとすると苦しくなる、賢く、自分の軸を持って生きようと思わせてくれる金言。
2023年10月4日
- 後宮の烏 7 (集英社オレンジ文庫)
- 白川紺子
- 集英社 / 2022年4月21日発売
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【全巻読切の感想】
スロースタートでぐんぐん引き込まれていく。
始めのうちは章ごとに事件が解決するタイプの進み方をしていく。
そこから徐々に事件が複雑に絡まり、ひとつの大きな結末に向かっていく。
まず頑張って2巻まで読み切ってほしい。
感情が大きくない主人公同士だからこそ、些細な行動や言葉選びに機微が宿る。
これは文章だからこそ楽しめる、奥深さがあると思った。
名前の漢字が見慣れないので、登場人物を覚えるのに時間がかかるのが難点、、、。
2024年8月14日
- キリンに雷が落ちてどうする 少し考える日々
- 品田遊
- 朝日新聞出版 / 2022年11月7日発売
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ダ・ヴィンチ恐山の見ている世界は4コマ漫画のようだと思った。
身の回りの事象をどんな切り口で、どんな大きさで切り取るのか。
どうでもいいことに頭を使ってみる、脳トレみたいな読書体験だった。
そして彼の特性も相まって、止まらない!止められない!なんで!どうした!やっちまった!うわぁあああ!うわぁ…。なんとまあ。の連続だった。
この本を読んだ後だと、日常が少しコミカルになる気がする。
たくさんの人に愛され、これからも脳みその中をチラ見させてもらえると嬉しい。
第二弾もまっています。
2024年3月18日
- 薔薇のなかの蛇 (講談社文庫 お 83-10)
- 恩田陸
- 講談社 / 2023年5月16日発売
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もしかしたらとんでもない間違いを犯してしまったのかもしれない。リセシリーズは本作が初だったが、順番に読んでいくべき作品だったか、、、。
疑い疑われ、思惑が交錯するブラックローズハウス。華やかなパーティーを彩る凄惨な殺人。容疑者不在で進む不思議なミステリーの感覚だった。
早くリセシリーズを最初から読みたい!
2023年10月12日
- 絶声 (集英社文庫)
- 下村敦史
- 集英社 / 2021年10月20日発売
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思惑が思惑を呼び、事実と解釈が絡み合う遺産相続サスペンス。
父が失踪し、死亡届が受理されようとするそのとき、更新されたブログを中心に利己心が衝突していく。
展開のスピードがテンポ良く、読みやすいがキャラクターの魅力というより、ストーリーとしての面白さに重きを置いた作品。
2023年10月2日