カッコウの卵は誰のもの

著者 :
  • 光文社 (2010年1月20日発売)
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本棚登録 : 5769
感想 : 781
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かつてスキーのオリンピック選手だった父親と、超高校生級スキーヤーの娘。ふたりの成功の影に、スポーツ遺伝子の存在を信じる研究者。
けれど、この娘の出生には誰にも言えない秘密があって…?

まぁ、その辺はタイトルの通りなわけです。

設定的にはすごく面白そう!と手にとったのですが、ですが…うん。
期待しすぎたのが敗因ですね。
普通に面白くはあると思います。

ただ、設定の割にストーリーに意外性もなく。
先に先に展開が読める感じが残念。
というか、「こうなったとしたらベタすぎる」と思えるほどベタな方に進んで行きます。
まぁ、だからこそ逆に安心して読める感じではあります。

最後のどんでん返しも中途半端かな。
二段構えな割に、世界があまりに狭いし。ちょっと漫画的。
謎の真相としては、まったく魅力にかける上に納得も共感も難しい…。
実際には、人の思いがあって、考えや行動があって結果(事件)が起こるわけですが、どう考えても事件ありきで、それをどう、主人公親子に都合のいいように全て辻褄を合わせるか、という流れで肉付けされてる印象が拭えない。
結果、辻褄もたいして合ってないし…
話とか論理とかではなく、人の気持ちときて不自然すぎる気が…私と違うタイプの人なだけなのかしら。


ひとつだけぐっと迫ったものとしては、伸吾くんの生き方と思い。
家族への思い、音楽への思い、自分の現状と不甲斐なさ、それと、思春期のぐるぐると回る螺旋階段のような思考。なのに誰も責めず、うちへうちへ向かっていく感じ。
切なくなるけど、彼はきっと強くて優しい大人になると思う。
高校生シーンがこの作品の良心だと思いました。
それにしても、好きでもないのにやるには、よりによってクロカンは…辛いよね。


面白くなくはなかったけど、設定の割には、特に何も考えさせられないし、残らない。
あっさりした作品でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年1月10日
読了日 : 2014年1月10日
本棚登録日 : 2014年1月10日

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