短編が4編収録
表題作は病気となり先の短い人生となった弟の見舞いへと訪れる姉の心情を綴った話。
弟の居る無機質な清らかさを保つ病室と日々の生活の有機的な汚らしさとの対比の中で、愛する弟との別れの予感から姉はどう思い動くのか。
もう一つ気になったのは「ダイヴィング・プール」孤児院を開く家に生まれた彩は、ある時自分の家庭に入り込んでいた孤児達に対し気持ち悪さを覚えるようになる。
同い年で孤児である純に思いを寄せる一方で、それはいつしか残酷な気持ちへと変わり・・・
読んで気分が良くなる話ではない、人間の内外の汚い部分を見せつけられる話が多い。
登場人物達の心情は生々しく、ときにグロテスクでもあり共感することはできないが、作品に漂う雰囲気(雰囲気としか表せないのがもどかしい)
に酔えれば面白いと感じることができるだろう作品。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小川洋子
- 感想投稿日 : 2009年6月17日
- 読了日 : 2009年6月17日
- 本棚登録日 : 2009年6月17日
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