以下ネタバレあり
ディオとジョジョの血を受け継ぐ青年が主人公ということで、一体どんなキャラなのか?と期待に胸を膨らませながら読み始めた。
序盤のうちは、広瀬孝一をペテンにかけたりギャングの一人(涙目のルカ)を容赦なく始末するなど、ディオの血を良い感じに引き継いでいるな、と読み進めていたがギャングに入団した頃からそのチョイ悪な性格は消え、論理的で冷静なお利口坊ちゃんに落ち着いてしまったのが残念だった。
仲間の5人のギャング達はそれぞれ個性豊かで若くルックス的にも愛着が持てたが、如何せん、ブチャラティが終始仕切りすぎである。リーダーであるからには仕方ないとは思うが、おかげでジョバァーナの存在感の薄さに拍車をかける結果になってしまったと思う。
ボスとの最初の接触にしても、なぜ主人公であるジョバァーナを差し置いてブチャラティ一人に行かせたのだろうか。
個人的にはあのシーンが5部の中で最も盛り上がるシーンである。
4部で言えば、日本から出発した承太郎一味がいよいよDIOの館に乗り込む場面と同じくらい重要なシーンである。
あのシーンにおいては圧倒的なボスの強さを見せつけ、恐怖心を誘う効果は絶大であったが、そんな大舞台をブチャラティ一人に挑ませる真意が分からなかった。(そもそも、その後キング・クリムゾンに殺られながらも生きる屍になる必要性が分からない)
そして、やはりフーゴの存在には疑問を感じずにはいられない。
途中で居なくなるのなら、最初からフーゴを省いた4人だけを登場させ4人それぞれのストーリーをもう少し濃くして欲しかった。
荒木先生は、フーゴを悪者として再登場させることがどうしても出来なかったと言っているが、あのまま作中から永久に追放するほうがよほど酷くはないだろうか。
ボスの正体についてもいまいちピンとくるものがなかった。
あれだけ正体を謎にしておいて、結局はそれまでのストーリーに片鱗も見せたことのない人物だったとは、ヒントとはかけ離れた連想ゲームの答えを出されたようで釈然としなかった。
これならば、ジョバァーナが小さい頃に接触したギャングがボスだった、という方がありきたりではあるがまだマシかもしれない。
一部から四部まで読んできて、ここまでストーリーやキャラ設定に疑問が残ったのは初めてであった。
だがしかし、多彩でより緻密なスタンド能力や敵にしておくのが勿体無いほどのクールな敵キャラが豊富で、5部は5部なりの魅力があると思う。
それだけに、もう少しここがこうだったら…と考えてしまうのは読者のエゴだろうか。
もし続編もしくは番外編があるのならば、読んでみたいのは圧倒的にこの5部である。
そして今度こそは、ギャングスターになったクールでチョイ悪なジョバァーナの活躍が見れることを切に願う。
- 感想投稿日 : 2011年6月13日
- 本棚登録日 : 2011年6月13日
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