変身 (角川文庫)

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本棚登録 : 980
レビュー : 114
制作 : Franz Kafka  中井 正文 
Magetuさん   ドイツ文学   読み終わった 

以下引用。

「(略)――まあ、考えてごらんなさいよ。ひとりぼっちで、自分のベッドへはいって寝るわけですからな。あの掛け蒲団のやつが、どのくらいたくさんの幸福な思いをおしつぶしてしまうことでしょうねえ。しかも、反対に、あいつは悲しい夢だけはいくらでも暖めてくれるんですからね」(ある戦いの描写、p.106)

 「もちろん、行きますとも……」そう私は言って、ひとりで立ちあがったのだが、ひどい苦痛を感じた。(中略)ところで、月が私をも照らしてくれるとは、まったく嬉しいじゃないか。たが、月が地上の万物を照らすのはあたりまえのことだ、と思いついた。謙虚な気持ちになって、あの橋の塔のアーチの下へ身をおこうとしたときに……すると、嬉しくなって私は両腕をすっかりひろげ、思いきり月光を楽しんだものだ。その腕をなげやりに動かして水泳ぎの所作をくりかえすと、私はべつに苦痛もなく骨折りもせずにやすやすと前へ進むことができた。そんなことをいままで一度も試してみたことがなかったとは! 私の頭は冷たい空気のなかへ浮かびあがり、右の膝が格別に飛翔の役に立った。その膝をたたいて私はほめてやったものだ。(p.118)

レビュー投稿日
2012年4月22日
読了日
2012年4月22日
本棚登録日
2012年4月9日
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