ハイドゥナン (下) (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

著者 :
  • 早川書房 (2005年7月21日発売)
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本棚登録 : 78
感想 : 8
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どうしても「日本沈没」との比較で語ることになってしまうが、シミュレーション小説の側面を強く持っていた「日本沈没」に対して、本作はよりSF的アイデアを前面に押し出している。ただ、そのアイデアへのアプローチ方法は多分に小松左京的でもあるのだ。
「日本沈没」は、当時最先端の学説であったプレートテクトニクス理論を大胆に取り入れて日本が沈むメカニズムを説明した。そのくだりはまるで研究論文のようだと言われたものだが、本作では実際の科学理論に加えてSF的なアイデアも大量に持ち込んだ。それでいて考証は小松左京ばりに科学的で緻密を極めるという離れ技を見せているのだ。聞けば著者は科学雑誌の編集者や記者をやっていたという、根っから科学畑の人なのである。ヒロインの特殊能力もロジックがしっかりしているので、もしかしたらと思わせてくれる。「ラストはやっぱりそこに戻るのか・・・」とは思うが、2000枚を超える超大作、良くも悪しくもSFの醍醐味を充分に堪能させてくれるのは間違いない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2013年2月13日
読了日 : 2013年1月23日
本棚登録日 : 2013年1月23日

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