当代の人気作家の一人、三浦しをん。
その三浦しをんが直木賞を受賞した小説、『まほろ駅前多田便利軒』。
作品は映画化され、続編も発表されました。
『まほろ駅前番外地』
https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4167761025
そのシリーズ第3作となる小説が文庫化されていると知り、電子書籍版で読むことにしました。
今回の作品も、舞台は東京の西にあるという設定の、まほろ市。
その駅前で”便利屋”を営む多田と、そこに居候している多田の同級生、行天が、主人公。
便利屋に持ち込まれる、大小様々な依頼。
それらの依頼に対処する、2人の姿が描かれています。
そんな日常の中で、2つの大きな出来事が、2人に降りかかってきます。
ひとつは、行天が苦手とする小さな子供を、預かることになったこと。
もうひとつが、”無農薬野菜”を前面に押し出して活動している団体が、まほろ市に出没するようになったこと。
このふたつ、プラスアルファの話が、全体の大きな流れとなって、小説が展開していきます。
その成り行きを楽しむのが、この小説の味わい方のひとつ。
そして、それらの騒動に対処するなかで、主人公の2人が自分の内面と対峙する様を読むというのも、このシリーズの重要なポイントだと思います。
今回も、過去の辛い記憶とどう向き合っていくか、愛情というものをどのように表現するのか受け取るのか、といったことを考えさせてもらいました。
この2人の”その後”を知りたい気持ちも残りましたが、このシリーズは本作品で完結のようです。
残念ですが、しっかり味わわせてもらいました。
この作家さんが次に、どのような作品世界を提示してくれるのか、楽しみにしたいと思います。
『政と源』三浦しをん
https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/B073GM66RN
- 感想投稿日 : 2018年4月4日
- 読了日 : 2018年4月4日
- 本棚登録日 : 2018年4月4日
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