キャプテンサンダーボルト 下 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2017年11月9日発売)
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本棚登録 : 51
感想 : 5
4

当代の人気作家の一人、伊坂幸太郎。
文庫化された作品を読んできたのですが、電子書籍化されている作品が限られていることもあり、最近フォローのペースが落ち気味になってきました。
あらためて電子書籍版の作品を探したところ、芥川賞作家の阿部和重と組んだ合作があることを知り、読んでみることにしました。

舞台は山形から始まります。
ホテルで再開した、幼なじみたち。
子供時代からトラブルメーカーだった、元エースピッチャーを中心に、事件が起こります。
そして、その事件とは別に進行していく、山形を舞台にした過去の出来事の話。

別々に描写される話が、いつしかリンクしていきます。
幼なじみたちが遭遇した事件の展開、そしてもうひとつの話に関連した謎解きが、物語の主軸になっています。
話の展開を楽しむとともに、複数のテーマが盛り込まれている作品だなと感じました。
・避けられない暴力
・借金
・医療問題
・個人情報の管理
・情報の統制捏造
・理不尽
・権力の怖さ
文庫版は上下巻600ページを超える大作なのですが、映画「ターミネーター」を連想するスリリングな展開に、次へ次へとぐいぐい引き込まれました。

下巻のあとがきによると、どこが阿部が書き、どこが伊坂が書いたかは公表されておらず、あくまで”合作”であるとのこと。
伊坂幸太郎小説の面白さをあらためて認識するとともに、今回はじめて読んだ阿部和重の作品世界にも浸りたいと思わせてもらえた、作品でした。

『キャプテンサンダーボルト 上』
https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/B0773NVB18

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2018年7月19日
読了日 : 2018年7月19日
本棚登録日 : 2018年7月19日

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