倫理という力 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2001年3月19日発売)
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感想 : 17
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「自由意志」とはなにか?これをもたないものは、人間ではなく、物欲の奴隷にすぎない。そして<逃れようとすれば、逃れられるような義務をあえて背負う>ことこそが自由意志である、とする。そして、人間の責務とは歴史を継承
することであるが、これは<技術を習得>することである、という指摘にもうなった。知性にできることは、たかだが<物の有用性を知る>ことであり、もっと大事な<在るものを愛する>ためには、宗教的な感情が必須であると。そして、なにか崇高なものを求めるのが宗教なのではなく、「<在るもの>の前に身を屈める>ことこそが、宗教であり、それは、「お忙しいでしょうか?」ときかれ、「いいえ、少しも」と常に微笑んでいる「東京物語」の紀子の身振りこそがそうなのだ、という。敬虔な態度、というものをこれだけ具体的に表現したのは稀有なことだと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 思想
感想投稿日 : 2010年4月27日
読了日 : 2010年4月27日
本棚登録日 : 2010年4月27日

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