何かのレビューで「甘い生活」の続編的な作品という評を読んだ気がするが、たしかに「ふわふわした仕事をしている主人公がローマで享楽的な生活をしつつも、そこにむなしさを覚える」という点では同じだが、「甘い生活」のマルチェロはまだ30代の働き盛りの男だったが、こっちのほうは65歳でろくに仕事をしないで過去の名声だけで生きている男なので、いっそう醜悪である。およそ2時間にわたって、その醜悪なパーティの様子を見せられても苦痛でしかないし、この主人公が求めていた「偉大なる美」の正体が明かされるエンディングには正直、がっかりするばかりである。ただ、救いは最後の20分に登場する「聖女」であり、彼女が登場してからは爆笑の連続。いっそこの部分を中心にコメディにしてくれたほうがよかった。
これがアカデミー外国語作品賞を撮ったのは、まあ、アメリカ人にもわかりやすいテーマであった、ということ以外には理由を見いだせないのであった。
読書状況:読み終わった
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非ホラー部門
- 感想投稿日 : 2015年7月29日
- 読了日 : 2015年7月29日
- 本棚登録日 : 2015年7月29日
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