子供が読んでいたものを拝借。
こってりファンタジーを読む気持ちを作らないまま、読破してしまい、戸惑ってます。
読み終わってから、『ベルリンは晴れているか』『戦場のコックたち』と同じ作家さんであることに気付き、これまた戸惑う。作風が全然違う!
さて、気持ちを整理して。
高校生の深冬は、街で有名な本の蒐集家の家系に生まれますが、本好きではありません。
ある日、家の書庫から本が盗まれるという事件が発生し、現場には、メッセージが残されています。
それは、「この本を盗む者は、魔術的現実主義の旗に追われる」というもの。
そして本の呪いにより、深冬の住んでいる街は、本の世界へと変わってしまいます。街を元に戻すために、深冬は、本の世界を冒険することになります。
読み終わって感じたのは、不思議な世界に連れてこられたのはわかったけど、この世界観はなんなのか?そして、この結末はどう解釈すれば良いのか?ということ。
まず不思議な世界観は、ブックカースという呪いで、現実の街が本の世界に飲み込まれるという設定。そしてブックカースという魔術的=西洋的な呪いが、日本的なお稲荷様との、なにやらダークな契約を交わしているという和洋折衷感(契約というのも西洋的)。想像の世界とこの世をつなぐ、あの世の一歩手前の世界、「煉獄」(ファンタジーとホラーが絡み合っている)。そして人ならず者、ひるね、真白という謎の存在(この2人はモンスターというより座敷童子的な感じだけど、真白に関してはもののけ姫のサンのような、ネバーエンディングストーリーの犬みたいな龍のようだったりと‥)。
この世界感を消化しきれないまま、後半戦は結末まで一気に読ませられます。
そして結末は、どういうこと?ってなる。
謎の存在、真白が結末に深くかかわってきますが、その存在をどう解釈するかにしばらくうなされました。
(きっと真白は‥なんだと解釈)
こんなことをうんうん考えさせられている時点で、すっかり本の呪いにかかっている気がしてきました。
こんなにも自由な作家さんだったなんて。
- 感想投稿日 : 2021年5月4日
- 読了日 : 2021年5月4日
- 本棚登録日 : 2021年4月29日
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