サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

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本棚登録 : 3524
レビュー : 309
制作 : 柴田裕之 
まーさん ノンフィクション   読み終わった 

暗澹たる未来。

西欧思想が16世紀以降の世界を飲み込んでいった「力」の理由として、「帝国」「資本主義」「科学技術」三位一体エンジンによる推進力を説明している。

著者は西欧人が世界をリードできた理由を「自身の無知を自覚したことによる知的好奇心」と綺麗な言葉で飾っているが、その正体は単なる欲望である。

東洋やアラブの君主のように「分」に満足することなく、未知の世界や未来までも貨幣換算できる価値として計算し、ひたすら収益の最大化のみを目指して世界を汚染し尽くした結果として生まれたグローバル強欲資本主義。

幸福の量的計測や、遺伝子の可能性が数値化された社会について考察している章は、一見深そうに見えるが、正直なところ高校の社会科で教わった「最大多数の最大幸福」や、アップルシードやPSYCHO-PASSの設定と比べてそう大した内容でもない。

サピエンスを文化の違いを超えて協力させることのできる神が「貨幣」しかないのならば、行きつく先は「金持ちが金持ちであり続ける」社会に、まやかしの能力主義による自己正当化のお墨付きが加わったくだらなくて退屈で理不尽な地獄だ。


本編の内容にはほとんど関係ないが、訳者あとがきに「日本語版出版に際して、日本に関する記述を加筆いただいた著者に感謝」とあった。

加筆内容
・原爆投下により戦争終結が早まった。
・半島に経済的魅力があれば朝鮮出兵(「日本の侵略」と記載)はなかったかも。
・日韓は経済協力する方がWin-Win。
...この部分「だけ」を切り取るととんでもない主張だが、前後の文脈と合わせると矛盾はない(不愉快だが)。

本当に著者が加筆したのか疑わしく思い、翻訳者の経歴をググってしまった。

レビュー投稿日
2019年7月17日
読了日
2019年7月17日
本棚登録日
2019年6月24日
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