小さき者へ・生れ出づる悩み (新潮文庫)

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妻を失い、新しく芸術に生きようとする作家の覚悟と、残された小さき者たちに歴史の未来をたくそうとする父性愛にあふれたある夜の感想を綴る「小さき者へ」。
”君”という語りかけで、すぐれた画才をもちながらも貧しさゆえに漁夫として生きなければならず、烈しい労働と不屈な芸術的意欲の相克の間で逞しく生きる若者によせた限りない人間愛の書「生まれ出ずる悩み」の二編を収める。
(裏表紙より引用)

なんとなく薄っぺらかったので手に取った一冊。初・有島武郎です。
解説によると、「有島の作品にはセンチメンタルなものと執拗残酷なものがある」そうで、これは前者のセンチメンタルな方らしいです。また、このように「人としての有島武郎を直接にあらわしている単純な作品」はそう多くないそうです。

作品の感想ですが、「小さき者へ」は、自分が小説家で同じ境遇にあったらこんな作品を書くのかな〜とか親が小説家だったらこんな作品を書くのかな〜と思いました。
あまりそれ以上の感銘は受けなかった・・かも

「生まれ出づる悩み」は、”君”という語りかけに違和感があるというか、新鮮というか・・・。しかしそこに人間愛を感じました。
ここまで自分の人生を気にかけてくれる人がいたらいいな、と思いました笑
”君”の悩みは、時代やその重要度の差異はあれ、私にとってもも人事じゃないです。
絵を描きたかったんだね。”君”ほど切羽詰ってはいないけれどしたいことが諸事情によって思うように出来ないというのは歯痒いです。


まぁそれなりには面白かったんだけどそこまで残らなかったなあー
「執拗残虐」な方の有島武郎を読んでみたいとは思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2009年7月31日
読了日 : 2009年7月31日
本棚登録日 : 2009年7月31日

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