のぞきめ

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012年11月30日発売)
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感想 : 63
5

読了、85点。

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「BOOK」データベースより。
昭和も残り少なくなった、ある夏。辺鄙な貸別荘地にバイトに来た成留たちは、禁じられた廃村に紛れ込み、恐怖の体験をする…(『覗き屋敷の怪』)。昭和の初期。四十澤は、学友の鞘落から、自分の家には“のぞきめ”という化物が取り憑いていると打ち明けられる。やがて四十澤は、鞘落家を訪ねるのだが…(『終い屋敷の凶』)。
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作品の構成は作家三津田信三シリーズとほぼ同じ構成。
三津田がかつての取材により知った怪異譚を小説に認めると冒頭で宣言した上で、作中作が展開され、最後に何らかの言及がなされるパターン。
この構成は、作家三津田が言及する場面で作中作の盤外からのサプライズを与える効果があり、「刀城言耶シリーズ」では非常に効果的な活用をされている反面、ホラー小説として見ると、どうしても作中作の外側に引き戻される為に読者が感じる恐怖を減退させてしまっている印象を持つ。
また著者がこの言及の場面で多くの場合作中作で語られたホラーの一部を論理的に解釈する、というミステリー小説的な要素を持ち込んでいる。
この試みが成功した『厭魅の如き憑くもの』などではミステリー的な解決がホラー要素をより一層高める効果を発揮しているが、
そうなっていない場合も多い。

本作はどちらかと言えば後者に属するが、それでも作中作のホラー小説としての質が非常に高く特に第一部の作中作は終章で齎される解釈とは直接繋がっていないために読者の感じる恐怖が減退することがない。
さらに作品構成として、序章、第一部、第二部、終章と第一部を読み終わった後作中作から引き戻されることもない為第一部で抱いた恐怖心をそのまま第二部へ持ち込めるのも非常に良い。

第一部や著者の過去作からも、著者は人間が本能的に感じてしまう恐怖を文章に表すのが非常に優れていると感じてしまいます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ホラー
感想投稿日 : 2013年1月10日
読了日 : 2013年1月7日
本棚登録日 : 2013年1月10日

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