北風が吹くころ、フランスにあるグレーがかったとある村に赤ずきんを被った奇妙な母娘2人が舞い降りた。
よそ者たちを一切受け入れず、埃がかったような暗い街並みにぱっと華やかな色合いのショコラティエが開店して、甘い香りに誘われた村人たちの頑なな心がひとり、またひとりと解かれていくおしゃれなおとぎ話のような作品に始終夢心地でした。
皆に希望のショコラを分け与えるまるで魔法使いみたいな不思議な雰囲気を持ったヴィヴィアンヌが、ひとりの生身の女性として悩んだり悲しんだりする様子もリアルで好き。
カトリックの規律に固められて、表面上は真面目に生きていても心が貧しかったら本質はなにも変わらない。
美味しいものを笑いながら心と体で味わって、音楽をかけて踊る喜びから人間らしさと優しさが生まれてそれが周りに伝染する。
何を否定し、排除するかではなく何を受け入れるかだよね。
グレーがかっていたはずの村がいつのまにかオレンジ色に輝いていたのが印象的でした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年10月30日
- 読了日 : 2017年10月30日
- 本棚登録日 : 2017年10月30日
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