木村元の本で紹介されていた一節に心惹かれて、わざわざ何軒も古本屋をたずね、ようやく見つけた時の嬉しさったら!
「お前らの暮らしはいったいなんなんだ。たいした未来はないか? どうせどこかに勤めるか?そんなふうに見切りをつけちゃいけねえ。人間ってのはもっとすばらしいもんだ。給料の多寡を心配したり、電車がすいているといって喜ぶだけの存在じゃないんだ。その気になれば、いくらでも深く激しく、広く、優しく、世界をゆり動かす力だってもてるんだ。偉大という言葉が似合う人生だってあるんだ。あんなおやじに、聞いてみろ。心の底までひっさらうようなものすげえことに感動したことがあるかって。世界に向かって「オレを重んじよ」といえるような人間になるんだ。」
「マンガでもロックでも、深く好きになれる人は、他のものも深く好きになれる。一番恥ずかしい人間は、くだらないとか言って、何に対しても深い関心をもてない人間だ。そういう人の魂は干からびている。干からびた人間は、人を愛することも、ものを愛することもできない。」
余命いくばくかの写真家の台詞が、平凡な人生に甘んじている自分に突き刺さります。ドラマの脚本をまとめたものですが、読むと心が熱くなります。私にとって大切な一冊です。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2012年1月1日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2011年7月20日
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