遺伝子の罠ーー数万人に一人がかかり、必ず十代の内に自殺へと追い込む奇病・モーテ。秘密と不穏に満ちた孤児施設・ドケオーに送られた少年・サーシャは、大人への憎しみを抱き、孤独に生活していた。そんな彼の前にマノンという美しい少女が現れる。
マノンとの仲が近づくにつれ、彼女の相談役・フォスターである気味の悪い男・ドゥドゥが、マノンを傷つけているのではないかと疑問を抱く。
サーシャはマノンを助けるために大きな決断をするが、その裏には驚くべき事実が隠されていた。
自殺を約束された少女と、人殺しと呼ばれた青年ーー絶望が生む絆の物語。
印象的な表紙に惹かれて購入。このレーベルは初かも。
帯にもあるとおり、本当に絶望感の中に、一筋の光が射すような、そんな絆の物語。
正直最初はあんまりって感じだった。かなり独創的な設定がメインなのに、その本質が曖昧にしか見えないと言う感じで、いまいち感情移入しにくい。けれど、それが主人公に視点が移ってから本当にがらっと変わって、もう目が離せなくなった。
最初の一幕は本当に他人からの一見の視点でしかないのだと痛感させられる。
二人の純粋な想いがものすごく切なくて、苦しい。見ていて辛い。主人公の報われなさというか、薄幸ぶりが半端ではなく、もうこれどうしようもないんだろうかと陰鬱な気持ちにさせられた。
それだけに、最後の救いある展開には本当によかったと安堵させられた。
モーテやドケオーといった本質的な問題解決には至っていないけれど、彼らがひとまず自由と幸せを取り戻せたのが重要。
ミスリードを誘う序盤の展開が、中盤から後半にかけていい感じに作用して面白かった。謎が解けていく感じで。
- 感想投稿日 : 2015年1月10日
- 読了日 : 2014年12月17日
- 本棚登録日 : 2014年12月17日
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