<中東>の考え方 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2010年5月19日発売)
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【版元】
製品 〈中東〉の考え方
著者 酒井啓子
発売 2010年05月18日
価格 本体800円(税別)
ISBN 978-4-06-288053-4
判型 新書
ページ数 256ページ
シリーズ 講談社現代新書

パレスチナ問題、イランのゆくえ、イスラーム主義、インターネットなどメディアの影響……。「中東」と呼ばれる地域のニュースは、背景が複雑で理解しにくいと言われます。著者も、大学での授業や、一般向けの講演などを通して、その困難さを感じてきました。なんとか「手がかり」となる本ができないか……。本書は、これらのさまざまな問題を、国際政治と現代史の枠組みのなかで理解することを狙いとした新書です。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062880534


【目次】
プロローグ [003-013]
なぜ中東情勢はわかりにくいのか?/なぜ「中東」とくくるのか?/中東は欧米が導入した言葉/「神様」や文化の違い?/世界のど真ん中で/本書の目的と構成
目次 [014-019]
関連地図 [020-023]

第1章 石油の海に浮かぶ国々 020
オイル・マネーが生んだ摩天楼/最初の中東体験/世界の動乱の鏡
1 大英帝国の遺産「湾岸首長国」 031
「中東」はいつできたか/大英帝国、部族長と手を結ぶ/砲艦外交
2 サウディアラビアの登場 039
イスラームの盟主/宗教家と部族の雄のタッグ/半島のヒーローと英外交官たち/アメリカとの蜜月/アラブ民族主義の政権が続々と/イギリスの退場と左派の台頭/石油がサウディアラビアを救った/石油が国を強くする
3 石油の国々 058
外国人で成立する湾岸産油国/なぜ格差が政治の不安定につながらないのか?/軍事力を持たない国の生きる道/クウェートのパレスチナ人/小説「太陽の男たち」のラストシーン/「石油の国々」の現在

第2章 パレスチナ問題とは何か 073
故国の味/アラブ民族意識とは何か/パレスチナは共通の問題
1 中東の人々のアイデンティティーを考える 078
そもそもアラブ人とは?/「アラブ民族はひとつ」という思想/「人工的な国分け」への反発とアラブ民族主義/イスラエルの建国/シオニズム思想/イスラーム地域出身のユダヤ教徒「ミズラヒーム」/イスラエルに暮らすアラブ人「イスラエル・アラブ人」/国民とはなにか/移住と衝突
2 パレスチナ問題をふりかえる 095
「ゲリラ」から「テロ」へ/イスラエルの外交戦略「一国ずつの和平協定」/アラファートPLO議長の登場/占領地のパレスチナ人たち/アメリカはなぜパレスチナ問題に関わったか?/オスロ合意/細切れになっていく自治地域/分離壁で切り離されて
3 アメリカはパレスチナ問題にどのように関わってきたか 116
アメリカの政権とイスラエルのロジック/脅威は外からひっくりかえす/アメリカの対中東政策/『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』/オバマの中東政策

第3章 冷戦という時代があった 127
1 アメリカとソ連の時代 128
世界が「東」と「西」に分かれていた時代/二大ボスが世界を回す/なぜ今冷戦時代について考えるのか?/超大国を操作する技術/「二大ボス間の戦い」の時代から「仮想敵との戦い」の時代へ
2 北辺防衛のための国々――トルコ、イラン 138
ソ連の南下をどこで防ぐか/トルコはアジアかヨーロッパか?/冷戦時代のイラン/湾岸の憲兵/ソ連の戦略「民族主義政権を取り込め」/アメリカの関心を引くための「ソ連カード」
3 アフガニスタン侵攻 149
なぜソ連はアフガニスタンに軍事介入したのか?/サウディアラビアとパキスタンをパートナーに/オサーマ・ビン・ラディーンの軌跡/「アフリカの角」ソマリア
4 アメリカの一極集中時代へ 160
アメリカはなぜ直接の軍事関与を避けてきたのか?/「地平線のかなた」作戦/湾岸戦争が「超大国操作術」の転機に/イラク戦争/冷戦時代は中東をどう変えたのか

第4章 イランとイスラーム主義――イスラームを掲げる人々 171
イランの反政府運動/イスラーム主義とは
1 イランで実現した「イスラーム共和制」 174
「よくわからない国」というイメージ/ホメイニーはどんな指導者だったのか?/イラン革命とアメリカ/なぜアメリカは「大悪魔」と呼ばれるようになったのか
2 「革命」政権の変質 184
ホメイニー亡き後/ハータミーの微笑み外交/アフマディネジャードとはどんな人物か?/「救世主〔マフディー〕」と交信できる大統領
3 「民主化が進むとイスラーム主義が強まる」のはなぜか? 194
イスラーム主義はなぜ台頭しているのか/ヒズブッラーとハマース/民衆が支持するのはなぜか?/ムスリム同胞団
4 「弾圧されて過激化する」 202
アルジェリア総選挙で開いた風穴/米国同時多発テロへの流れ/アフガニスタンとアルカイーダ/イスラーム主義の多様性

終章 メディアとアイデンティティー 209
パレスチナのラッパー/庶民の声はどこにいった/アラビア語衛星放送「アルジャジーラ」の影響力/イランのインターネット普及率は四八パーセント/ネット空間/ヴァーチャルなイスラームの連帯/ネットでのイメージと民衆感情にはギャップも/イスラーム銀行とスカーフ/なぜスカーフをかぶるのか

読書リスト [229-232]
おわりに(二〇一〇年四月 酒井啓子) [233-237]
関連年表 [i-vii]

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 319.国際関係・外交
感想投稿日 : 2017年7月27日
読了日 : 2017年9月11日
本棚登録日 : 2017年7月27日

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