昭和維新試論 (講談社学術文庫)

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レビュー : 6
著者 :
別府さん 311.政治学   未設定

著者:橋川文三〔ハシカワ ブンゾウ〕(1922-1983)
 『辺境』の連載を単行本として刊行したもの。絶版→復刊を繰り返している。

【書誌情報】
発売 2013年09月10日
価格 定価 : 本体1,000円(税別)
ISBN 978-4-06-292193-0
判型 A6
ページ数 320ページ
シリーズ 講談社学術文庫
初出 “原本は、1984年に朝日新聞社より刊行。文庫化にあたっては1993年に刊行された朝日選書版を底本とし、2007年に筑摩書房より刊行された、ちくま学芸文庫版を参照しながら、明らかな誤植と思われる箇所を正し、多少の注記とふりがなを加えた。”

[内容紹介]
 日本人は、はじめて差別に憤り平等を希求した。本書は、忌まわしい日本ファシズムへとつながった昭和維新思想の起源を、明治の国家主義が帝国主義へと転じた時代の不安と疎外感に見出す。いまや忘れられた渥美勝をはじめとして、高山樗牛、石川啄木、北一輝らの系譜をたどり、悲哀にみちた「維新者」の肖像を描いた、著者最後の書。
 “朝日の遺書全体を貫いているものをもっとも簡明にいうならば、何故に本来平等に幸福を享有すべき人間(もしくは日本人)の間に、歴然たる差別があるのかというナイーヴな思想である。そして、こうした思想は、あえていうならば、明治期の人間にはほとんど理解しえないような新しい観念だったはずだというのが私の考えである。(……)私はもっとも広い意味での「昭和維新」というのは、そうした人間的幸福の探求上にあらわれた思想上の一変種であったというように考える” ――<本書より>
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062921930


【目次】
目次 [003-005]

序にかえて 009
一 渥美勝のこと 021
二 渥美の遺稿「阿呆吉」 052
三 「桃太郎主義」の意味 061
四 長谷川如是閑の観察 080
五 青年層の心理的転位 085
六 樗牛と啄木 098
七 明治青年の疎外感 109
八 戊申詔書 120
九 地方改良運動 132
十 田沢義鋪のこと 174
十一 平沼騏一郎と国本社 203
十二 日本的儒教の流れ 226
十三 癸亥詔書 252
十四 北一輝の天皇論 275
十五 国家社会主義の諸形態 296

解説 鶴見俊輔 [304-315]
(原本刊行時の連載変更点)(一九八四年五月 朝日新聞社出版局図書編集室) [316]



【抜き書き】

 “いわゆる昭和維新の源流となる衝動の諸形態が萌芽状態としてあらわれるのは、およそ一九二〇年前後のことと考えてよいであろう。久野収・鶴見俊輔の両氏『現代日本の思想』において、日本における「超国家主義」(ここでは当面「昭和維新」と同義にとっておく)のスタートを暗示させるものとされた朝日平吾の安田善次郎暗殺は大正十年(一九二一)のことであるが、〔……〕”
[9頁]



“ ともあれ、朝日の遺書全体を貫いているものをもっとも簡明にいうならば、何故に本来平等に幸福を享受すべき人間(もしくは日本人)の間に、歴然たる差別があるのかというナィーブな思想である。そして、こうした思想は、あえていうならば、明治期の人間にはほとんど理解しえないような新しい観念だったはずだというのが私の考えである。〔……〕
 ところで、やや性急に言うならば、私はもっとも広い意味での「昭和維新」というのは、そうした人間的幸福の探求上にあらわれた思想上の一変種であったというように考える。”[19頁]

レビュー投稿日
2017年7月9日
本棚登録日
2017年7月9日
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