1からわかる図書館の障害者サービス:誰もが使える図書館を目指して

著者 :
  • 学文社 (2015年3月10日発売)
3.71
  • (1)
  • (3)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 43
感想 : 5
3

【書誌情報】
『1からわかる図書館の障害者サービス――誰もが使える図書館を目指して』
著者:佐藤聖一 (1960-) 埼玉県立久喜図書館員
編集協力:新山順子 川越市立図書館員
ジャンル:教育学、図書館
出版年月日:2015/02/20
判型:A5 ソフトカバー
頁数:176頁
定価:本体1,900円+税
ISBN:9784762025211
NDC:015.17 :図書館活動

図書館の障害者サービスとは、「障害者のための特別なあるいは対象別サービス」ではなく、高齢者・施設入所者・入院患者・妊産婦・外国人等を含んだ「図書館利用に障害のある人々へのサービス」をさす。「すべての人にすべての図書館サービス・資料を提供すること」、すなわち誰もが使える図書館を目指す。
障害者の情報環境や障害者に対する図書館の役割を明らかにしたうえで、障害者サービスの基本的な考え方から、対象となる利用者、障害者サービス用資料、主なサービス、著作権法等の関連法規等、サービスを行う上で必要な基本知識を簡潔にまとめた。
https://www.gakubunsha.com/book/b241927.html

【簡易目次】
はしがき
序章 障害者とは 001
第1章 障害者と情報 009
第2章 障害者サービスとは何か 019
第3章 障害者サービスの対象者 034
第4章 障害者サービスの歴史と現状 041
第5章 障害者・高齢者に使いやすい施設・設備 055
第6章 障害者サービス用資料とその製作 067
第7章 図書館利用に障害のある人々へのサービス093
第8章 障害者サービスを始めるために―― PR方法 115
第9章 障害者サービス関連法規・規則 129
第10章 障害者サービス 今後の展望 139
あとがき/参考資料/索引


【詳細目次】
はしがき [i-ii]
目次 [iii-ix]

序章 障害者とは 001
1 そもそも障害者とは 001
  (1) 障害者の数――日本はいちじるしく障害者の割合が低い? 
  (2) 障害者の定義の変化――機能障害・社会的障害から環境因子を組み合わせた理解へ 
2 本書を読まれる方へ 004
3 図書館の障害者サービスの普及が思うように進んでいないのはなぜか――福祉サービスと混同していないか 006
4 障害者の権利に関する条約が求めていること――日本社会の課題 006


第1章 障害者と情報 009
1 情報障害者といわれる人たち 009
2 情報障害者になってしまう理由 010
  (1) 障害者が使える形の本・情報が販売されていない 10
  (2) インターネット・パソコン等のIT機器の利用が難しい(操作ができない, アクセ
シブルでない) 
  (3) 経済的に障害者用資料やIT機器類が購入できない 
3 障害者の情報入手の現状 012
  (1) 情報入手の手段 12
  (2) IT機器が使える人と使えない人の情報格差 13
4 障害者への情報提供のあり方 014
  (1) 情報はそれを出しているところが自ら障害者への情報保障を行う 14
  (2) アクセシブルな電子書籍等の発行 15
  (3) アクセシブルな資料や機器が使えない,使いにくい人のために 15
5 障害者と情報ボランティア 016


第2章 障害者サービスとは何か 019
1 障害者サービスの誤ったイメージ 019
  (1) 障害者を対象とした「対象別」「特別な」サービスではない 19
  (2) 「恩恵的な」サービスではない 19
  (3) 視覚障害者サービスではない 20
  (4) すべての人に関係のあるサービス――誰もが高齢者になる,誰もが障害者になるかもしれない 20
2 障害者サービスの意味 021
  (1) 図書館はすべての人に目を向けているか 21
  (2) ノーマライゼーソョン社会の実現とバリアフリー 21
  (3) 障害者サービスの定義「図書館利用に障害のある人々へのサービス」 23
  (4) 障害者サービスの目的「すべての人にすべての図書館サービス・資料を提供すること」 23
  (5) 全職員,すべての窓口での障害者対応と,担当者の役割 24
3 障害者への情報提供における図書館の役割 024
  (1) 図書館の基本的役割 24
  (2) 障害者への情報提供機関 25
4 障害者サービスの手法 025
  (1) 資料を何らかの方法で利用者の手元に届けるもの 25
  (2) 資料を利用者の使える形に変換して提供するもの 26
  (3) 図書館を利用しやすくするためのもの 27
5 市町村立図書館,都道府県立図書館,国立国会図書館の障害者サービス 028
  (1) 市町村立図書館の障害者サービス 28
  (2) 都道府県立図書館の障害者サービス 30
  (3) 国立国会図書館の役割 32


第3章 障害者サービスの対象者 034
1 図書館利用の障害 034
  (1) 物理的な障害 34
  (2) 資料利用の障害 35
  (3) コミュニケーションの障害 35
2 具体的な対象 035
  (1) 心身障害者 35
  (2) 高齢で図書館利用に障害のある人 36
  (3) 病気等による一時的·恒常的な障害者36
  (4) 施設等入所者 36
  (5) 外国人(外国を母国とする人を含む) 37
3 国際的にみた障害者サービスの対象者 037
  (1) 国際図書館連盟(IFLA) 37
  (2) 世界知的所有権機関(WIPO) 38
4 障害者サービスの利用登録 038
  (1) 利用登録の必要性 38
  (2) 障害者手帳によらない利用登録――障害者サービス著作権ガイドラインの活用 39


第4章 障害者サービスの歴史と現状 041
1 歴史 041
  (1) 戦前 41
  (2) 新たな視点での障害者サービスの始まり「公共図書館の蔵書を障害者に開放する」 42
  (3) 視覚障害者サービスの進展 44
  (4) 図書館利用に障害のある人へのサービスへと拡大 45
  (5) 障害者サービス年表(公共図書館を中心に) 47
2 障害者サービスの現状 050
  (1) 実施率,実施地域 50
  (2) サービスの現状 51


第5章 障害者・高齢者に使いやすい施設・設備 055
1 図書館の基本設計 055
2 図書館までのアクセス 056
3 障害者・高齢者に配慮した施設・設備 057
  (1) 館内の表示サイン 57
  (2) 障害者用駐車場 58
  (3) スロープ 58
  (4) 館内の誘導点字ブロック,案内システム 59
  (5) 階段 59
  (6) エレベーター 60
  (7) 障害者用トイレ,多目的トイレ 60
  (8) カウンター・閲覧机 60
  (9) 磁気誘導ループ(集会室,カウンター) 60
  (10) 聴覚障害者用緊急連絡システム,案内システム 61
  (11) 書架 61
  (12) 手すり,ドア 61
4 障害者サービスのための施設 062
  (1) 対面朗読室,録音室 62
  (2) 障害者用読書室 62
  (3) 資料製作のための作業室 62
5 障害者用支援機器を使ったサービス 063
  (1) 拡大読書器 63
  (2) 音声パソコンによるインターネット等の利用 64
  (3) 音声読書機(自動活字読み上げ機) 65


第6章 障害者サービス用資料とその製作 067
1 障害者サービス用資料 67
  (1) 点字資料 67
  (2) 録音資料(カセットテープ→ DAISYへ) 68
  (3) DAISY(デイジー)資料 68
  (4) テキストデータ 70
  (5) 大活字本・拡大写本 70
  (6) リライト,LLブック 71
  (7) 布の絵本,触る絵本 72
  (8) 字幕・手話入りDVD・ビデオ,副音声つきDVD 72
  (9) ピクトグラム 73
  (10)アクセシブルな電子書籍 73
2 資料の入手方法 74
  (1) 購入 74
  (2) 寄贈 75
  (3) 相互貸借,インターネットからのダウンロード 75
  (4) 自館製作 76
3 インターネットを利用したDAISYデータ等の配信サービス 「サピエ図書館」と「国立国会図書館」 077
  (1) 障害者サービス用資料データの収集 77
  (2) 資料の検索 77
  (3) ダウンロードとストリーミング再生 78
  (4) サピエ図書館・国会図書館サーチの障害を持つ利用者のためのサービス 79
4 障害者用資料製作の現状 079
  (1) 図書館が資料を製作する理由 79
  (2) 資料の製作者 80
  (3) 料製作の現状 80
5 図書館協力者の役割と図書館との関係 082
6 図書館協力者(音訳者・DAISY編集者)の養成 083
  (1) 養成講座の必要性 83
  (2) 音訳者・DAISY編集者に求められる技術 83
  (3) 音訳者養成講座のカリキュラム例 85
7 録音資料製作の方法(例) 087
  (1) 製作の手順 87
  (2) 録音図書の形式 88
  (3) 録音資料製作の具体的手順(例) 91
  (4) インターネットを活用した録音等資料製作 92


第7章 図書館利用に障害のある人々へのサービス 093
1 対面朗読 093
  (1) 対面朗読とは 93
  (2) 対面朗読を行う人 96
  (3) 対面朗読の留意点 96
2 録音資料・点字資料の郵送貸し出し 098
  (1) 準備 98
  (2)郵送貸し出しの方法 99
3 郵送貸し出し(一般図書・雑誌,障害者用資料) 102
  (1) 心身障害者用ゆうメールを用いた方法 102
  (2) 郵便,宅配業者を用いた方法 103
4 宅配サービス 103
  (1) 宅配サービスの考え方 103
  (2) 宅配サービスの方法 104
5 施設入所者へのサービス 104
  (1) さまざまなサービス形態 104
  (2) 施設との連携 105
6 入院患者へのサービス 105
  (1) 入院患者と情報,患者図書室 105
  (2) さまざまなサービス形態 106
7 高齢で図書館利用に障害のある人へのサービス 107
  (1) 障害者サービスと高齢者サービスの関係 107
  (2) 拡大文字資料,拡大読書器 107
  (3) 従来からある障害者サービスの活用――対面朗読,郵送貸し出し,宅配サービス等 108
  (4) 高齢者施設等でのサービス 108
8 障害を持つ子どもたちへのサービス 109
  (1) 個々にあった障害者サービス用資料 109
  (2) 読書支援用具の活用 110
  (3) 学校との連携 110
9 聴覚障害者へのサービス 
  (1) コミュニケーションの確保 111
  (2) サービス 112
10 多文化サービス 112
11 受刑者等矯正施設入所者へのサービス 113


第8章 障害者サービスを始めるために―― PR方法 115
1 準備 115
  (1) 障害者サービスの理念や方法を学ぶ 115
  (2) 自館の状況を把握す 116
  (3) 地域・利用者の状況を把握する 117
  (4) 必要な法規,規則等を集める 119
  (5) 実施のための具体的技術を習得する 119
2 障害者サービスの実施計画を作る 120
  (1) 障害者サービスのプログラムを作成する 120
  (2) 年度計画を作成する 121
  (3) 障害者サービスの規則,要綱等の整備 121
  (4) 利用案内の作成 123
3 障害者サービスのPR 124
  (1) 口コミサービスの質が問われる 「一度来た利用者を逃さない」 
  (2) 図書館ウェブページ,障害者用利用案内,障害者用資料目録,ポスター,チラシ 124
  (3) 直接PR 126
  (4) 自治体内,福祉関係者への周知 126 
  (5) 障害者や家族を対象とした催し物の開催 127


第9章 障害者サービス関連法規・規則 129
1 著作権法 129
  (1) 日本の著作権法の構造,関連条文 129
  (2) 第37条第3項「視覚障害者等のための複製等」の解説 130
  (3) 図書館ができること 132
  (4) 「障害者サービス著作権ガイドライン」の解説 133
  (5) 著作権第37条の2「聴覚障害者等のための複製等」の解説 134
2 郵便法と関連規則 135
  (1) 第4種郵便(点字) 135
  (2) 第4種郵便(特定録音物) 135
  (3) 心身障害者用ゆうメール 136
  (4) 聴覚障害者用ゆうパック 136
3 図書館利用に役立つ福祉制度 137
  (1) 日常生活用具給付制度 137
  (2) ガイドヘルパー 137
  (3) タクシー券,福祉バス 138


第10章 障害者サービス 今後の展望 139
1 図書館は障害者の情報入手のための総合窓口 139
  (1) すべての市民が利用できる 139
  (2) 公共図書館を基点にさまざまな施設と連携して障害者への情報提供を行う 139
  (3) 全国3,200以上のサービス窓口 141
  (4) 多彩なサービス方法を持つ図書館 141
2 これからの日本社会と図書館 141

あとがき(2015年1月 佐藤聖一) [147]

参考資料 [149-158]
1 「視覚障害者の読書環境整備を:図書館協会会員に訴える」(視覚障害者読書権保障協議会)150
2 「公共図書館における障害者サービスに関する調査研究」に見る障害者サービスの現状と推移(図書館雑誌2012年5月号) 151
3 著作権法関係条文,障害者サービス著作権ガイドライン 153
  (1) 著作権法 153
  (2) 著作権法施行令 154
  (3) 図書館の障害者サービスにおける著作権法第37条第3項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン 155
4 障害者に関する条約 155
  (1) 障害者の権利に関する条約 155
  (2) IFLA「情報へのアクセスと開発に関するリヨン宣言」 156
  (3) 世界知的所有権機関WIPO「盲人,視覚障害者及び読字障害者の出版物へのアクセス促進のためのマラケシュ条約」 156
5 障害者に関する法令 157
  (1) 障害者基本法 157
  (2) 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法) 157
6 参考にした資料 157

索引 [159-160]

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 0XX.総記
感想投稿日 : 2019年9月4日
読了日 : 2019年9月6日
本棚登録日 : 2019年9月3日

みんなの感想をみる

ツイートする