憲法と政治思想の対話―デモクラシーの広がりと深まりのために

制作 : 飯島昇蔵  川岸令和 
  • 新評論 (2002年6月1日発売)
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【書誌情報】
タイトル:憲法と政治思想の対話タイトル
サブタイトル:デモクラシーの広がりと深まりのために
編者:飯島昇藏・川岸令和
発行年:2002年 7月 1日
定価:3,520円
ISBN:ISBN4-7948-0557-8 
判型:A5判上製
頁数:366ページ

 今日、自由・権利・平等・正義と無関係に政治のあり方を構想することはおよそ不可能であるが、それらの概念は古来論争の的であり、政治思想の助けなくしてその意味内容を把握することは難しい。
 また逆に、具体的な政治制度の支えなくしては、どれほど崇高な政治思想も画餅餅に帰するであろう。
 このように、政治秩序の構成という観点からすれば、憲法と政治思想とは密接に関連しているにもかかわらず、わが国の学界や論壇では、残念ながら、両者の対話は非常に限られていたように思われる。
 本書は政治秩序の構成に関わる思想的問題を憲法と政治思想との視点から分析し、それによりわが国における両者の対話を活性化させるとともにデモクラシーの広がりと深まりに寄与しようと試みたものである。
https://www.shinhyoron.co.jp/4-7948-0557-8.html


【簡易目次】
序文(二〇〇二年三月 ニューヘイブンにて 川岸令和 シカゴにて 飯島昇藏) [001-006]
目次 [007-01]


  第一部 日本国憲法制定期における新しい政治秩序の構想

第一章 「亡命」者の日本国憲法――大山郁夫の戦後思想をめぐって[梅森直之] 016
一 「亡命」という空白、憲法との「対話」 016
二 美濃部憲法学との「対決」――翻訳『逐条憲法精義』 022
三 「立ち退き」の憲法論――転住日系人との出会い 033
四 「事件」としての日本国憲法――新日本憲法を前にして 042
五 もつれ合う主体、絡み合う理念 052

第二章 未完の憲法革命――新しい時代の幕開けと美濃部達吉[川岸令和] 061
一 ポスト市民革命の憲法制定 061
二 憲法改正不急論 063
三 大衆デモクラシー状況下の制度設計図 067
四 伝統への傾斜 076
五 テクストに対する解釈の優位 082
六 連続と断絶との間で 091
七 未完の憲法革命 095

第三章 「健康で文化的な最低限度の生活」再考――困窮者のシティズンシップをめぐって[遠藤美奈] 105
一 シティズンシップと困窮者 105
二 森戸辰男の「生存権」論 107
三 「言語で文化的な最低限度の生活の水準と実像 112
四 「社会的排除」――貧困研究の新しい潮流 117
五 フル・シティズンシップの確立のために 123

  第二部 現代デモクラシーと人権の概念をめぐるパブリック・ディスコース

第四章 ヨーロッパ統合とフランスの人権[山元一] 138
一 ヨーロッパ・人権・憲法学 138
二 ヨーロッパ統合における人作の位置づけ 141
三 ヨーロッパ人権条約とフランス 144
四 フランスにおける基本権の出現 147

第五章 合衆国憲法におけるデモクラシーと平等審査[高橋義人] 155
一 デモクラシーのコンセプション 155
二 同性愛者と修正第一四条 160
三 政治過程における偏見と平等審査―― Romer判決 167
四 差別と「文化闘争」 175
五 デモクラシーと社会的平等 181

第六章 ハーバーマスの市民的不服従論――デモクラシーと法治国家の内的連関に関する一考察[西永亮] 193
一 市民的不服従――法治国家とデモクラシーのあいだ 193
二 権威主義的リーガリズム批判 195
三 市民的不服従と近代の規範的內容 204
四 生活世界の植民地化と法制化 213
五 市民的不服従の民主的意義 217
六 未完のプロジェクトとしての憲法 225

  第三部 現代政治理論における立憲主義とデモクラシー

第七章 コミュニタリアニズムの社会正義論――マイケル・ウォルツァーの配分的正義論をめぐって[飯島昇級] 236
一 ウォルツァーの社会正義論の重要性 236
二 方法論――特殊主義 244
三 善の理論――相関主義 248
四 社会的に承認された必要  253
五 正義と善の一致の可能性およびデモクラシーの哲学的正当化 262

第八章 市民の徳と政治の制度――『美徳なき時代』再読[厚見恵一郎] 271
一 マッキンタイアと「徳の倫理学」
271
二 徳・実践・制度 274
三 アリストテレス主義・共和主義・自由主義 279
四 徳の倫理学から市民的徳へ 283

第九章 現代リベラリズムにおける立憲主義とデモクラシー ――政治の可能性をめぐる一試論[谷澤正嗣] 294
一 憲法は政治の「足かせ」なのか 294
二 政治的リベラリズムとリベラルな立憲主義の構想 297
三 政治的リベラリズムに対する批判と政治的立憲主義の構想 314
四 立憲主義におけるリベラリズムとリパブリカニズムの接合 332

人名・書名索引 [356-358]
事項索引 [359-364]
執筆者紹介 [365-366]
奥付 [367]

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 323.憲法
感想投稿日 : 2021年9月10日
読了日 : 2021年9月10日
本棚登録日 : 2021年9月10日

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