ばるぼら (手塚治虫文庫全集)

  • 講談社 (2011年10月12日発売)
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本棚登録 : 120
感想 : 12
4

映画化を受けて再読。こんなお話だったかー。前半と後半で明らかにムードが違って、手塚先生ご自身があとがきで書かれているように、主観的・観念的なものからオカルトへの転換がなされてますね。個人的には前半のミステリアスな雰囲気が好きでした。現代ではもう、こういう作品はなかなか発表しにくいだろうなぁ。作家性の強さとともに、時代を感じる作品でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック
感想投稿日 : 2020年12月5日
読了日 : 2020年12月5日
本棚登録日 : 2020年12月5日

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コメント 2件

kuma0504さんのコメント
2020/12/05

こんにちは。
映画観ました。その感想。ブクログには、映画の感想は載せないので。まぁ、ブクログでのストレス発散みたいなものです。無視してください。

1973年の手塚作品ではあるが、現代の新宿やさまざまな街の景色が丁寧に切り取られていて、都会の吹き溜まりを体現したかのようなばるぼらが全然不自然に感じられなかった。約50年前のマンガなのに、これは凄いことである。

人気作家ではあるが、「読んだら直ぐに忘れられる」と嘯いて寄ってくる女、代議士の娘で選挙演説をしたら学術会議みたいなところに入れてくれると約束する女、忠実で誠実な秘書ではあるが誠実な仕事を望む女、その(金、名誉、生活)全てをばらぼらは呪術で退けた後に、美倉はばるぼらの虜になる。今や芸術のミューズとしての正体を現して美倉と結婚しようとする。芸術とは、このようなところしか出てこないのかもしれない、と諦観した天才手塚治虫がみえるかのようだ。

それが破綻した後に、美倉はぼるぼらと(手塚治虫がよく描いた)洞窟のような廃墟にたどり着く。バルぼらの死と共に、最後にたどり着くのは、「ばるぼら」という作品だった。ばるぼらとは、barbaroと書くのか?

手塚眞だけの力ではない。クリストファー・ドイル、橋本一子、磯見俊裕、柘植伊佐夫全てが良い仕事をしている。

マンガタリ編集部さんのコメント
2020/12/05

丁寧なコメントありがとうございます。僕も映画版観ました。

ほんとに、スマホもパソコンもある現代なのに、猥雑で退廃的な昭和の雰囲気が妙にマッチしてるなぁと感じました。二階堂ふみさんの、汚れキャラなのに時々チラ見えるクリアさもミステリアスで、特に前半のムードがすごくよかったです。終盤あたりから「こんな話だった!?」という印象があって読み返したのですが、エピソードの要素やインパクトは活かしつつ、ちゃんと流れにまとまってたんだなと感じましたねー。

原作の再読から、あらためて映画版を観返したくなる作品でした。

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