井上ひさし笑劇全集 (下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1976年4月1日発売)
3.33
  • (1)
  • (0)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 13
感想 : 2
3

笑劇の基本的なパターンは、「騙す者」vs「騙される者」の対立

コミュニケーション手段であるはずの言葉が、逆に、ディスコミュニケーション、あるいは「対立」のための手段に、さらには、人をペテンにかけるための方策になり変わっていく

言葉は、日常生活の中で何の疑問もなく使用する場合には、いわゆる極り文句として、表面的な意志の疎通手段として便利なメディアである。しかし、それは絶えず、陳腐で弾力性のない表現手段に転化する危険性を帯びている。そうした陳腐な媒体に成り下がることから言葉を救うのが、狂言を始めとして井上作品に至るまでの笑劇の伝統に連綿として伝えられた使命

同音異義、つまりダジャレは、言葉及びそれをとりまくディスクール(表現のパターン)を浮遊状態に移行させるという役割を担っている

井上コントの8割は、この同音異義による言葉のトリックに頼っている

言葉と言葉のダジャレを介した出会いによって、それぞれの言葉は、それらが本来属していた文脈から切り離されて、新しい文脈を作る。この文脈の中で、言葉はより大きな広がりの中に意味の宇宙を解き放つ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コメディ
感想投稿日 : 2010年11月28日
読了日 : 2010年11月28日
本棚登録日 : 2010年11月28日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする