昭和天皇がリアリストであり、皇統を護る事を憲法よりも上に置いて行動したという分析は、天皇を聖人君子や「良い人」と丸めてしまう論調よりも、余程現実的であり、昭和天皇も自身に与えられた使命を全うしようと生きた一人の人間という事で納得できる良書である。
東京裁判では東條英機にすべてしょっかぶせる、安保条約では共産革命阻止のために米軍が内乱に介入できるようにする、沖縄は戦中は捨て石(最後の戦況確認手段)であり、戦後は米軍に占領を続けてもらう事で守ろうとした。
しかし、第二章は、アンチ安倍政権のバイアスが掛かっているいる事が冒頭から見え見えで本書を台無しにしていると思う。
本当の「人間昭和天皇」の実像を明らかにした上は、読者一人一人にこれからの日本を考えさせるべきであり、この本の趣旨からして著者の考えを押し付けるべきではない。
読書状況:積読
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2019年5月12日
- 本棚登録日 : 2019年5月6日
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