まさに、爽快! !というに相応しい、ジジババが活躍する、頭脳派クライムアクション長編(!?)
作者ご当人の年齢に合わせてか、二村刑事、「ららら科学の子」の主人公、等々、作品の発表を追うごとに、主役の年季もようよう熟してきた矢作作品ですが、「傷だらけの天使」、「百発百中」ときて、メインキャラがロートレ主義のジジィ&ババァになっているにも拘らず、この面白さ。この格好良さ。
「傷だらけの天使」は、相棒がIT世代の申し子だったために、ネットやバーチャルワールドを使ったトリックがふんだんに盛り込まれた作品でしたが、「百発百中」は相棒はもとより、手下、アシスタントまで「アラ70」だ。舞台も都心の歌舞伎町ではなく、長野と山梨の真ん中の山奥。
でも、間違いなく新しい。面白い。購入してから一年間も醸造していた私はバカでした(笑)
かっこいいジジババと言えば、天藤真の「大誘拐」という傑作がありますが、秀と政の手際のよさは、あのおばあちゃんに通じるものがあります。
一方、ネクストワールド入居者の仲間たちの活躍は、田村由美の短編マンガ「きねづかん」の4人組を彷彿とさせます。
悪人退治のヒーローであり、かつ、目的のためなら法律も端折るアウトロー集団でもある、というところが、美味しいとこどりの所以でしょうか。
本当に、こんなおじいちゃんおばあちゃんたちばかりだったら、世の中の悲劇の2割は無くなると思うんですけれど……
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ヤハギ穴
- 感想投稿日 : 2011年10月26日
- 読了日 : 2011年10月24日
- 本棚登録日 : 2010年9月26日
みんなの感想をみる