そして私は、私自身の本当の喜びは何だろうかということに就て、ふと、思いつくようになった。私の本当の喜びは、あるときは鳥となって空をとび、あるときは魚となって沼の水底をくぐり、あるときは獣となって野を走ることではないだろうか。
私の本当の喜びは恋をすることではない。肉欲にふけることではない。ただ、恋につかれ、恋にうみ、肉欲につかれて、肉欲をいむことが常に必要なだけだ。
私は、肉欲自体が私の喜びではないことに気付いたことを、喜ぶべきか、悲しむべきか、信ずべきか、疑うべきか、迷った。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本
- 感想投稿日 : 2010年11月25日
- 読了日 : 2010年11月25日
- 本棚登録日 : 2010年11月25日
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