貸してくれる人があって読んだ。
5作の短編集。女性の孤独を描いた作品群。
ひとつめの『いろ』が一番すき。
主人公の「るい」という名前といい、設定といい、うまい。
瀬戸内晴美の時代の作品で、「瀬戸内晴美は奔放な官能小説を書いていた」と聞いていて、 特に興味も持たず読んだことがなかった。
50年程前に書かれたこの表題作によって、当時彼女は「子宮作家」というレッテルを貼られたそうだ。
わたしの聞いていた評判もこのあたりに端を発するのだろう。
たしかに女性のことばで書かれた性愛の描写がどの作品にもあるし、極普通の結婚生活を送るような男女の姿は描かれていない。
当時としてはセンセーショナルで、そこが取り沙汰されるのは仕方ないかもしれないが、この小説群の魅力はそれだけじゃない。文体の美しさ、登場人物のまっすぐさ、性表現もいやらしさを狙ったものではなく、品がある文学的な表現。
わざわざ「官能小説」というのもどうかと思う。
(正統な「官能小説」を読んだことないので性描写をメインとしているもの、と定義して話している。決して官能小説がほかの小説に劣るという意味合いで書いているわけではない)
女性の女性らしい感性を素直に書き過ぎてるゆえに、当時の男性がたには受け入れ難かったのかなあ?
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2011年8月30日
- 読了日 : 2011年8月29日
- 本棚登録日 : 2011年8月30日
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