SYNC なぜ自然はシンクロしたがるのか

  • 早川書房 (2005年3月24日発売)
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感想 : 40
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蛍の同時発光や睡眠の周期、月と地球の自転の関係、超伝導など、驚くほど多様な現象のなかにある同期現象について、最新の非線形科学の研究成果を踏まえて、分かりやすく説明してくれる入門書。そして、この本には、面白い事例がたくさん紹介されているだけでなく、さまざまな研究者のエピソードが紹介されていて、著者の人間への愛情あふれる眼差しがなんとも優しい気持ちにしてくれる。

これまでの科学は要素還元的に世界を分解して理解しようとしてきたし、その数学的な手法は線形的であった。が、世界には線形ではできていない。線形とは物事を単純化するための接近法でしかなく、世界は非線形なのだ。が、非線形の方程式は解を見出すのが極めて難しいことが知られる。にもかかわらず、無秩序のなかから自発的に生じてしまう同期現象という秩序の不思議。

しかしながら、この本を読んでも、結局、「どうして同期現象が様々に生じるのか」という疑問は解決されることはない。それは、複雑系の本を読んでも、自己組織化のメカニズムが分からないのと同じである。だけど、それはまだまだ人間がこの世界について、知らないことが沢山あるということ。そして、世界は不思議な出来事がたくさんあるということ。英語のwoderful(すばらしい)は、wonder-full(不思議が一杯)なんだ、と脈絡無く、ふと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年4月30日
読了日 : 2007年4月28日
本棚登録日 : 2017年4月30日

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