現在の理論物理学の関心事は、どちらかというとミクロ的な世界のほうにあって、物質を分解して行くと究極的にはどうなっているのか、そこがわかれば、宇宙全体も分かるかもしれない、という感じのアプローチが中心である感じが素人としてはする。
つまり、論理的に矛盾する相対性理論と量子力学の溝を、ミクロ的に物質を分解することで埋める事ができないかという感じかな。
では、マクロ的な宇宙は、相対性理論で説明できているかというと、実はそんなことは全然なくて、ダークーマターやら、ダークエネルギーやら、まだ見つからない物質やエネルギーを仮定することによって、かろうじて辻褄をあわせている状態。
なので、現在の物理学の世界では、ダークマターやダークエネルギーを発見すべく膨大な労力、資金が投入されているというわけ。
という状況に対して、著者は、ダークマターやダークエネルギーは、かつて存在を仮定された太陽と水星の間にある惑星バルカンや空間を充填していて光を伝達すると想定されたエーテルのようなものではないか、それらはないものとして理論構築はできないか、と提案する。
素人なので、著者の提案する修正重力理論(MOG)の確からしさ、もちろん評価できない。
が、著者の問題意識のありようとか、現在の物理学の抱える問題については、とてもよく分かった。
でも、素人なりにも、なかなかMOGが受け入れられないだろうなー、というのも、なんとなく分かる気がする。
つまり、今、求められている理論は、ダークマターやダークエネルギーの謎を説明するマクロ的な重力理論であるとともに、量子力学と相対性理論の矛盾を解決するものでなければならないという気がするからだ。
著者の重力理論は、この求められているものの前半へのアプローチなので、それだけでは、今ある確立された理論をすててまで、MOGに移るインセンティブはないだろうなー、と思ってしまった。
前半はかなり面白いが、後半の著者の理論の説明になると、やや歯切れが悪くなる印象があるので、満足度は★三つにした。
でも、久しぶりに宇宙論関係の本を読んで、気分転換にはなったかな。
- 感想投稿日 : 2017年5月2日
- 読了日 : 2010年7月22日
- 本棚登録日 : 2017年5月2日
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