「理性の限界」「知性の限界」と続けて読んだ勢いで、同著者による、論理学者R.スマリヤンの訳書を読んでみる。
スマリヤンは、以前、「タオは笑っている」というタオイズム、禅と論理学を絡ませた本を読んだ事があって、かなりハマったことがあった。今でも、ときどきパラパラと読み返したくなる名著である。
で、スマリヤンの他の本も読もうかなと思ったのだが、他はどちらかという論理ゲームみたいな本で、一般向けといっても、わりと読んでいてメンドーな感じだったので、それ以上、深入りしなかった経緯がある。
で、この本だが、「タオは笑っている」と同傾向の本で、まさに自分が読みたかった種類のものだ。
自分の存在、宇宙、時間、死後の世界などなど、そんなの考えたって、無駄でしょう?的なことを、さまざまなタイプの人を登場させながら、論じて行く。
もちろん、答えはでるわけではないのだが、こうした議論を行うことを楽しんでいることが、伝わってくるわけで、そこがなんともいいんです。
論理学者でありながら、初期のウィトゲンシュタイン、ウィーン学派などの論理実証主義的なものに対しては、「すべてを無意味してしまう」という感じで、かなり手厳しい。
フィロソフィーは、知を愛するというわけだが、久しぶりに、純粋に、知ること、考えることを愛し、楽しんでいる哲学に出会った感じがする。
ちなみに、訳者の「限界」シリーズの座談会方式は、この本に着想をえていたわけですね。それから、「限界」シリーズででてくる話しのいくつかの元ネタも発見。
出版社のせいか、なんだか、装丁とか、地味で、ページ数などからすると値段もやや高めだけど、本好きには、これは大推薦!
- 感想投稿日 : 2017年4月30日
- 読了日 : 2010年5月23日
- 本棚登録日 : 2017年4月30日
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