
夢に出てきちゃいそうなこの表紙!
絶対怖い、絶対怖い、絶対怖い・・・!
とぶるぶるしながらも、好奇心に負けて読み始めた。
でも全然ホラーじゃなかった、むしろすごくハートウォーミングな。。。
視力をなくし、父と住んだ思い出の古い家で、ひとり静かに暮らすミチル。
職場の人間関係で悩むアキヒロ。
駅で起きた殺人事件で、犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家にこっそり逃げ込み、息を潜めて居間の隅にうずくまる。
ミチルは他人の気配に気づき、不安にかられるが、刺激しないようにいつも通りに生活を続ける。
しかしある出来事をきっかけに、ミチルが知っていることをアキヒロは知り、二人は奇妙な同居生活を始める。
奇想天外な設定。
でも、乙一さんは、こういう「目に見えない」存在との共存を書くのが本当にうまい。
ミチルの家の、不思議と静かでやわらかい空気が伝わってきて、私もその空気の中にとけこむように、自然と物語に入っていけた。
孤独な二人が、言葉を介さず、視線も合わさず、接触することないように慎重に生活しながら、空気だけを共有して見えない糸によって魅かれあう。
カズエに謝りに行こうとするも、玄関で足がすくんで寒さに震えているミチルに、初めてアキヒロが触れるシーンが好きだ。
読み終わって改めて表紙を見て思う。
もっと可愛くていいのに(笑)
- レビュー投稿日
- 2012年11月18日
- 読了日
- 2012年11月18日
- 本棚登録日
- 2012年11月18日
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