つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)

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本棚登録 : 4155
レビュー : 636
著者 :
マリモさん 人間模様 日常 仕事   読み終わった 

十字路の角にぽつんとひとつ灯をともす食堂。
その十字路にはあちらこちらから風が吹きつのるので、いつでもつむじ風がひとつ、くるりと回っている。
いつの間にか「つむじ風食堂」とよばれるになったその風変わりな食堂には、ちょっと変わった常連さんたちが集う。

「私」は、月舟アパートメントの屋根裏に住む、人工降雨の研究者兼、物書き。
なんだか地に足がつかないというか、雲の上をふわり、ふわりと歩いたような、不思議な読後感だった。

安食堂だけど、お洒落できちんとしたメニューブックを用意し、ナイフとフォークでいただくちょっと気取ったお料理を出す、つむじ風食堂のマスターがすてき。なかでも普通のコロッケじゃないんだぜ、と気張って名付けられた「クロケット」がお気に入り。
それから、手が空いたときにはそっと水色のやわらかい布で銀色のエスプレーソマシーンを磨くコーヒースタンドのタブラさん。
「タブラさん、エスプレーソ。砂糖はいらないよ。」
って。私もタブラさんにそう注文してみたい。

後から知ったのだけど、これは、「それからはスープのことばかり考えて暮らした」と同じ月舟町の物語で、ひとつ前の作品とのこと。
あれ?何か知ってる?と思ったのも、別に同じ作者さんだからというだけじゃなかったみたい(笑)

なんだかまだふわふわしちゃってる。
私も月舟町に、少しだけお呼ばれしてたのかも。

レビュー投稿日
2012年11月12日
読了日
2012年11月11日
本棚登録日
2012年11月11日
6
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『つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)』のレビューへのコメント

まろんさん (2012年11月12日)

月舟町に、少しだけお呼ばれ。。。いいですね♪

「それからはスープのことばかり考えて暮らした」がセピア色のイメージなら
「つむじ風食堂の夜」は、あたたかみのある、マットな黒に
どこかで灯された灯りが静かに差し込む感じでしょうか。

はっきりと起承転結があるわけじゃないし、大きな事件も起こらないけれど
屋根裏部屋に並ぶ双子みたいな机とか、階段にひとつ置かれたオレンジとか、
オセロのような白黒猫とか、映像がふんわりと浮かび上がって
魔法にかかったような心地になってしまう本ですよね。

私もタブラさんのエスプレーソは飲んでみたいけれど、
味覚がおこちゃまなので、きっとお砂糖は必須です(笑)

マリモさん (2012年11月13日)

まろんさんこんにちは♪

>マットな黒にどこかで灯された灯りが静かに差し込む感じ

そうですね、まさにそんなイメージです!
オチを求めちゃうと物足りないのかもしれませんが、
エピソードのひとつひとつに温かみがあって、
読み終わったあとも反芻して楽しめますね。
出てくる食べ物もなんだか美味しそうで…

私も味覚おこちゃまなんでいつも砂糖入りなんですが、想像の中で大人ぶってみました!(笑)

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