彼方より

著者 :
  • 講談社
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感想 : 5
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【再読】百年戦争でジャンヌ・ダルクと共に戦った英雄ジル・ド・レ。青髭のモデルになったとも言われる彼に付き従っていた錬金術師フランソワ・プレラの物語。
物語の前半は、子どもの頃ほんのひと夏だけ、フランソワ(フランチェスコ)と机を並べて学んだマルシリオの回想、後半はフランチェスコの手記という形で進む。

根本のテーマは「神の不在」。こんな惨いことを神はお許しになるのか、こんな酷いことをする人間になぜ神の裁きは下らないのか。
恵まれすぎた容姿故に自由も尊厳も奪われ生きるしかなかったフランチェスコは、神に救われなかった自分の存在意義を証明するために、悪徳に手を染めていく。
それでも、かつて自分のことを本当に心配し、救おうとしてくれた友人マルシリオのことが忘れられず、手記の形でマルシリオに語りかける。
無神論者の人間には、本当の意味では理解できないとは思うけれど、彼なりの答えを見つけ心穏やかな最期を迎えられたなら、それはある意味救いなのかも知れない。
フランチェスコとマルシリオ、2人の関係に、自分にないものを持つ者に対する憧れに似た恋情を感じなくはないけれど、百年戦争、ジャンヌ・ダルク、ジル・ド・レとくれば、西洋史好きの私には十分楽しめた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説・篠田真由美
感想投稿日 : 2021年10月16日
読了日 : 2021年10月16日
本棚登録日 : 2013年2月11日

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