私の個人主義 (講談社学術文庫)

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レビュー : 141
著者 :
marinosbooklogさん 文庫   読み終わった 

夏目漱石の講演集。

・私の個人主義
他人本位で生きてきた夏目漱石がロンドン留学を経て自己本位の生き方に気付いた。
今から見ると別段新しいことはなく、「個人主義」という言葉自体に悪いイメージもないけど、この時代では偏った個人主義に悪いイメージが付きまとっていたことは容易に想像できる。その時代に「個人主義」という言葉を使って自己本位の生き方を説明したところに意義があった。

言葉の上っ面だけの解釈は膚浅な解釈。


・道楽と職業
やっぱり長い時間を費やす職業なんだから、自分の好きなことの延長にあったらいいなと思っていた。
漱石の提出した職業観は、まず何もかもを自分でしていた時代に遡る。自分で米を作り、着物を織る時代。でも社会が成立するうちに分業体制になるのは、自分がしない仕事は他人に補ってもらい、自分の仕事は他人のしないことを補う、という流れにある。
ということはどうしても他人本位にならざるを得ない。
また、最初は道楽でやっていたかもしれないがそれが職業となると途端に性格が変わる。

その理解の上で、科学者や哲学者、芸術家は本当に道楽=職業、自己本位でやってるレア物である。

職業ってそんなものか、と思った。職業の性質はうまく言い当ててると思う。(まだ働いてないから何とも言えないけど)
私は顕微鏡を覗く部屋から抜けられなくなりそうな気がしてたけど、その視野の狭さは私にとってはあまりよろしくないかもしれない。
中庸やったり中道やったり、昔から人はバランスのいいところを目指して落ち着くのが理想と説かれていて、それが最もだと思うに至った(at高野山)。科学や哲学に傾倒してしまって他は受け付けない人がいることは分かっているけど、あくまで私としては中道を目指したいので。


・現代日本の開化
西洋の開化は内発的であるのに対し、日本の開化は外発的で皮相上滑りの開化。酷評。

その時代に生きながら、こういう俯瞰的な見方のできる人が賢いなぁと思う。

レビュー投稿日
2011年8月24日
読了日
2011年8月24日
本棚登録日
2011年8月12日
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『私の個人主義 (講談社学術文庫)』のレビューへのコメント

hilite10982さん (2011年8月24日)

中道・中庸を保つためにも、いっぱい知識増やして、考えてくださいまし。

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