20代後半のファッション雑誌編集者の女性が主人公。愛犬との生活の中で大切なものが見えてくる。散歩の途中で季節を愛でるのは、自分も経験があり豊かな時間だったと思っている。小説の中の愛犬の名前が近所のワンちゃんと同じ名前なので、一段と没入できたような気がする。感情が揺さぶられ、面白かった。

2024年3月24日

読書状況 読み終わった [2024年3月24日]

ついにやってしまった。国内線に搭乗してから意気揚々と読み始めたが、40ページ目あたりからこの本は以前に読んだことがあると確信した。30ページ目まで読んでもはっきりしなかったので、記憶力はかなり悪いのだろう。そもそもこの読書日記は同じ本を繰り返し買うことを防ぐ目的でつけているので、大失態である。あとで調べると5年前に読んでいる本だった。それでも読み進めて160ページ目まで来た。本屋で買ったのは、篠田節子+四国遍路に惹かれたからで、どれほど両者が好きなのだろうと自分で思う。読書を中断しなかったのは、ストーリーをほとんど覚えていなかったので、新鮮に面白く読み進めたいと思ったのと、細部の表現に魅了される部分が多く、単純に楽しいからだと感じたからだった。遍路でのエピソードも参考になり、実際に著者が遍路道を訪れて感じたことがベースになっており、自分も体験したいと感じた。
160ページ目から最後までは一気に読んだ。先の展開が全く予想できないというのは読み進めるにあたっては刺激的だが、5年前に読んだ内容をほとんど覚えていないのはショックだった。今後の生活を考えると不安になる。改めて感じたのは、著者の卓越した展開力と、細かな気を引く表現だった。東日本大震災と四国遍路の現実、女性の生き方、バブル崩壊後の流れの変化などのテーマが折り重なって興味は尽きない。特に、遍路に関する考察はとても納得感がある。蛇足になるが、この作品を映像化するのであれば、女性の主人公はシシドカフカだと勝手に5年前からイメージしている。

2024年3月24日

読書状況 読み終わった [2024年3月24日]

大学教授が中世伊予で活躍した河野氏の辿った歴史をふりかえりながら、湯築城跡のもつ価値を明らかにした本。湯築城は日本百名城に選定されているが、天守閣などがないこともあって、城としての認識が低いのが事実だろう。河野氏についても元寇では名をはせたが、戦国時代の活躍がないので地味な存在であるが、長くにわたり中世の伊予を支配していたことがわかる。

2024年3月3日

読書状況 読み終わった [2024年3月3日]

ジビエ料理を題材にした小説。ジビエの猟から料理への過程が理解できるようになっており、関係者の心情や複雑な規制などもよくわかる。そこにミステリーのスパイスが加わっており、著者の手腕が発揮されている。
私の田舎の島でも近年はイノシシの数が急増して被害も拡大している。魚屋の主人が罠にかかったイノシシを解体して、その肉をサービスしてくれたことがあるが、地産地消のいい例だろう。被害を防止できて、新鮮な肉も食することができ、豚肉の消費を減らすことができそうで、いい事ばかりのような気がする。人口が減少する一方で、イノシシの数は増加の一途だと予想されるので、食料自給の観点からも必要だと思うのだが、素人考えなのだろうか? そもそも子どもの頃は、島にイノシシはいなかったはずだが、どうして島にいついて、こんなに増えてしまったのか?一般論としては、海を泳いで渡ってきたということになっているが、最近衝撃的な話を聞いた。同級生二人が高校生の時に、飼育されていた猪豚を柵から逃がしたというのだ。それが繁殖した可能性もある。真偽のほどは分からない。

2024年2月26日

読書状況 読み終わった [2024年2月26日]

映画好きにはたまらない小説だと思う。著者が映画を愛し、スクリーンで観ることの悦びを大切にしていることがわかる。

2024年2月18日

読書状況 読み終わった [2024年2月18日]

芥川賞受賞作なので手にとってみた。推し活に熱心な人の生態が少しわかったような気がした。

2024年2月3日

読書状況 読み終わった [2024年2月3日]

33歳でガンを宣告された男性が主人公の小説。書店でいつも気になるところに陳列されており、直感に従って購入したが、十分な感動を得られた。著者の実務経験により、病気の模写にはリアリティがある。主人公を支える人たちのサイドストーリーも面白い。家族の大切さがじんわりと伝わってくる。

2024年1月20日

読書状況 読み終わった [2024年1月20日]

2005年に直木賞を受賞した小説。35歳の女性2人が主人公だが、過去と現在が交互に語られ、複雑な感情が入り混じるユニークな構成になっている。

2024年1月13日

読書状況 読み終わった [2024年1月13日]

20年以上耳鳴りと付き合っている。何とかしたいと思い購入した。耳鳴りに悩む人が知りたいことについて、専門医がQ&A方式で解説している。この方式は読みやすい。改善や悪化を防ぐセルフケアも多くの方法が紹介されており、とても参考になる。

2023年12月28日

読書状況 読み終わった [2023年12月28日]

『常識的に考えればよしとされる「まじめ、人を疑うことを知らない、人の話を素直に聞ける、責任感が強いこと」が運の悪い人の要素になる』のフレーズが気になり購入してみた。脳科学者が「運をよくする」考え方や行動パターンを脳科学的見地からつきとめて、「運のいい脳」にするためのヒントを紹介した本。ふだんから自分が思っていたことの理由が、脳の仕組みの観点からわかりやすく説明されており、納得する部分も多い。面白くて一気に読んだ。気になることもある。神経伝達物質に個人差があり、それを分解する酵素にも遺伝的な個人差があることや、新規探索性は遺伝的に決まっていることなどが紹介されており、自然に解釈すれば、「運は生まれながらに決まっている」という身も蓋もない結論になってしまう。著者はそうは言ってはいないが、親の影響を受けて行動パターンが決定されやすいことも述べており、遺伝的な要素が強いのも事実なのだろう。しかし、自分で思考や行動パターンを変えることにより未来は変わってくるとして、多くの具体的な方法が提示されており希望がもてる内容になっている。

2023年12月27日

読書状況 読み終わった [2023年12月27日]

知人の推薦で手に取ってみた。骨董に魅了された人々のドタバタ感が生き生きとユーモアたっぷりに描かれている。主人公が料亭経営にのりだした後に、狡猾な女性が登場してからますます面白くなる。実在の人物をモデルにしているが、主人公の性格がどこか自分と似ているような気がしてならない。

2023年12月26日

読書状況 読み終わった [2023年12月26日]

4歳以下で多い食事中の窒息事故を防ぐための啓蒙の絵本。やさしい内容で、表現もやさしい。

2023年12月10日

読書状況 読み終わった [2023年12月10日]

子どもが怪我をした時の対応についてまとめてある。知らなったことも多く、また自分が怪我をした時の参考にもなる。

2023年12月10日

読書状況 読み終わった [2023年12月10日]

小児科医が子どもの事故を予防できるようにまとめた本。予想もしなかったような危険が子育てには潜んでいることがわかる。実践的な内容で、乳幼児の子育て世帯には不可欠な知識だと思う。

2023年12月10日

読書状況 読み終わった [2023年12月10日]

アラサーの女性が婚活を意識しながら出会いの中で考えを巡らせている。おもしろい話題が次々に出てきて飽きない。これが現代のアラサー女性の標準的な思考なのかはよくわからないが、都会のキラキラした華やかな感じは少数派だろう。アラサーの婚活は最初にデータありきで条件闘争の色彩が強く、ロマンスは後回しになりがちだが、ひと昔前は会社を含めたいろいろな共同体の中で、時間をかけて相手の内面の魅力にこころが動かされるパターンが多かったような気がする。若者が多かった共同体が崩れ、相手の魅力を発見するまでともに過ごす時間が減少したのが、現代の婚活が盛んになった要因の一つのような気がする。打算の愛も愛は愛といったところなのか。

2023年12月4日

読書状況 読み終わった [2023年12月4日]

2冊目の川村元気は恋愛小説。来春に映画が公開される。インドのシーンと森七菜を観るのが楽しみだ。

2023年11月18日

読書状況 読み終わった [2023年11月18日]

恋愛感情とは違う関係を描いた短編小説集。「マドンナのテーブル」での会社の地位を絡めためんどくさい関係が面白い。

2023年11月18日

読書状況 読み終わった [2023年11月18日]

一番好きな作家の新刊が出たので購入した。大人の女性12人に実際に自分自身に起きた恋愛についてインタビューする形になっており、それぞれの事例について著者の意見が最後に書かれている。面白くて一気に読んだ。

2023年10月28日

読書状況 読み終わった [2023年10月28日]

「表面だけ読んでもそれなりに読めるようにしたつもりだが、本意は声にならない声を聴くことができる人だけが読めるように書いた」と著者が「はじめに」で述べているので、覚悟して読んだ。結果として、自分は聴くことのできない人間ではないかと残念な気持ちで読み進めた。それでも、「承認欲求と不安」、「脳は、自由を嫌う」、「正義中毒」の章は面白かった。

2023年10月23日

読書状況 読み終わった [2023年10月23日]

上海を舞台にした美術と恋愛の小説。上海へ飛び立つ前と後での主人公の違いが面白い。それにしても原田マハばかり読んでいる。

2023年10月9日

読書状況 読み終わった [2023年10月9日]

さまざまな立場の女性が自分の人生を見つめ直す小説の短編集。著者の作品らしく、旅の中で心温まる話が多い。その中に「ハグとナガラ」のひとつがあり、読み始めてすぐ主役となる次の登場人物が思いだせた。2年前に読んだ小説の内容を覚えていたことで、自分の記憶力がまだ保たれていることも確認できた。それにしても、最近は原田マハの小説ばかり読んでいる。

2023年9月30日

読書状況 読み終わった [2023年9月30日]

英国のジャーナリストがマネーとその歴史について、特に債務に焦点をあてた考察を述べている。2012年に出版された本で、リーマン後の巨額債務までの事例が当時の最新の問題だった。10年以上を経た現在では、コロナ対策による支出の中で債務問題はさらに巨大化している。本書の中で巨大債務にあえぐ先進国が陥るのは、インフレか、停滞か、デフォルトのどれかだと断言しているが、現在は債務問題からそのどれも起こっていない。インフレは明らかに別の要因で引き起こされている。本書の指摘は外れたのであろうか? 
日本についてみると、ここまで蓄積されてきた国の負債は、もはや全額を返すことは不可能なことは分かる。では、円の大幅な下落やインフレによって購買力を失った通貨で返済するといった事実上のデフォルトが起こるのか、はたまた自ら起こすのかが問題だ。国債の保有者は主に国内の投資家、つまり自国民からの調達なので、その対処はしやすいというのが一般論になりつつあるが、本当にそうなのであろうか?
2022年末の国債の保有者別内訳をみると、日銀が52%、銀行等13.0%、生損保等19.1%、公的年金4.2%、年金基金2.8%、海外6.5%で合計1051兆円となっている。日銀が量的緩和で購入した国債の償還を迎えた時に、借り換えの新規発行債を日銀が買わないと需給関係はどうなるのか? 国債保有の約38%を占める銀行・生損保・年金が、預金者や契約者の死亡や高齢化によって資産の圧縮を図れば国債の売り手に回ることも予想され、国債の消化が困難になり利回りが上昇することになると思われる。利回りが上昇すれば、債務問題はクローズアップされて、日本政府に対する信頼が揺るぎ始める可能性がある。
そもそも、現役世代を助けるため経済危機が深刻になるたびに補正予算を組んで借金を増やしてきた。経済が成長すれば借入を返す原資の税収が増加するという楽観的な理由からだったが、景気刺激策による経済成長は持続せず借金が積みあがる循環となっている。子どもの世代に借金を押し付けるのは無責任にように思えるが、その子どもも次の世代に押し付ければいいというような風潮になっている。子どもの数が急減しているので、どこかで破綻するスキームなのは目に見えている。国債の利回りの上昇は、日銀が新発の購入を減らす5年後か、ベビーブーマーが平均寿命を迎える10年後か、それとも市場の政府への信頼が揺らぐ時が突然来るのか、タイミングは分からない。日本円や日本国債の危機を叫ぶ人はいたが、好況な金融市場によってその声はかき消されてきた。それでも、自分の資産は自分で考えて守らないといけないいと再認識している。

本書の中で、記憶に残る文章をメモしてみた。
「マネーという言葉そのものは、ローマ神話の女神ユノからきている。警告と忠告の女神。その価値に頼りすぎる人々にふさわしいお告げといえる。」
「純債務者(たいていは大多数)が純債権者を投票数で上回るような体制は、潜在的な弱みを抱いている」
「人間はまず、途方もない自己規制を発揮し、貨幣を思いのままに増やしたいという誘惑に抗えるようにならなくてはならない。たとえ自分自身の生存や国家の存続がそこにかかっていたとしても」
「貸し付けを行うには貸し手と借り手の双方に、借り手の収入が増えて返済可能になるという信頼がなくてはならない」

2023年9月30日

読書状況 読み終わった [2023年9月30日]

約30年前に読んだ「青の回帰」には、トルコに行きたくなるぐらい当時とても感動したことを覚えている。3か月前に著者が亡くなった時に、「青の三部作」の他の作品も読んでみたいと手に取った。国際的なスケールのミステリー・ロマンは同じだが、現代の感覚ではやや違和感が残るのは仕方がないところか。

2023年9月9日

読書状況 読み終わった [2023年9月9日]

40年前に読んだ本を再読した。アレキサンドリアの場面はずっと覚えていたので、当時も印象深く読んだのだろう。なんとなく先が読めるので、まだ記憶力があまり衰えていないことの確認もできたが、やはり面白い小説だということも再認識した。ゴーギャンをヒントに書かれたものだが、主人公は著者が作り出した独自の画家だと今なら理解できる。

2023年9月1日

読書状況 読み終わった [2023年9月1日]
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