幕末の鳥羽伏見の戦いで大阪城から帰ってきてしまった慶喜に対し、袖を掴んでまで交戦を訴えた小栗上野介忠順は慶喜の一言で罷免され、江戸を離れ、自分の所領地であった上州(群馬県)権田村に引っ越すが、そこで東進してきた官軍によって捕らえられ、裁判もなく即処刑されてしまった。
横須賀製鉄所や日本で初めての株式会社など革新的なことを幕府の中にいながら推進していった能吏を失ってしまったのは、その後の明治維新にとって大きな損失だったのではないだろうか?
この本は忠順の日記を読み解いてゆくというものであるが、彼の日記には日付、天気、いつ登城していつ帰宅したか、誰を尋ねたか、誰がいつ頃尋ねて来たか、くらいしか記述がなく、何をしたのか、何を話したのか、何を考えていたのかなどは一切書かれていない。これをたの文献と比較して、そのとき何が起ったのか、何を考えていたのか、などを推測するするという非常にチャレンジングな分析になっている。
彼がアメリカから帰国してから、罷免されるまで、特に長州討伐から鳥羽伏見の戦いまでどこで何をしていたのか、もっと知りたくなった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
江戸文化
- 感想投稿日 : 2018年4月2日
- 読了日 : 2018年3月28日
- 本棚登録日 : 2018年4月2日
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