「蟹工船」と「1928・3・15」が収録されています。
「蟹工船」は船の「蟹工場」という意味らしいです。雑夫や漁夫たちは考えられないほど凄惨な生活を送ります。もはや人間的な生活などといえない「過酷」以上のもの。人間の命さえなんとも思わないで、搾るだけ搾ろうとする現場監督。お金をもった資本家と「プロレタリア」との対置。頭でただ理解していたのとは違った生々しい再現を感じました。
同時収録は、共産党一斉検挙事件を著した「1928・3・15」。
こちらを読んで事件について知りたかったので、あえて岩波文庫版をチョイス。国家権力がいかにして共産主義者を叩いてきたか。それは体制側が「共産主義」を恐れていた証拠。警察署でのすさまじい拷問をとおしてなされる話の展開が印象的です。
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ただ、いまの時代背景とこの作品がなぜ安易に結びつけられて語られるのか?わかるんだけどわからなかった。共感を得ることはできても、そこには比べものにならない大きな大きな壁が立ちはだかっているような。でも、こういったことを知り、教訓にしていくことは大切だと思います。
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読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2015年10月16日
- 読了日 : 2009年5月30日
- 本棚登録日 : 2015年10月16日
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