太平洋戦争 日本の敗因1 日米開戦 勝算なし (角川文庫)

制作 : NHK取材班 
  • 角川書店 (1995年5月23日発売)
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感想 : 18
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太平洋戦争の敗因を、主に「船舶問題」という視点からアプローチした本です。日本は島国であるため、資源・物資の多くを船舶によって運んでいました。また、兵力の投入においても輸送船の安全が問題となってきます。しかし、本来日本にとって最重要課題とも言えるその「シーレーン」を確保するための計画が、太平洋戦争開戦時に際しても希望的観測によるところがきわめて大きく、あわせて戦中を通じてもいかに杜撰なものであったかをこの本は解明しています。「輸送船護衛」などよりも「作戦」に海軍力を結集させろ、というのが海軍・連合艦隊の言い分だったようです。

結果、輸送船は潜水艦や航空機などによりどんどん沈められていくことになります。堅固な護衛のない資源・物資・兵力の輸送はことごとく失敗し、戦局のさらなる悪化や日本経済の崩壊を促進させるという悪循環をつくりあげてしまいます。日本の戦争指導者たちが気づいたときにはもう手遅れでした。

あとがきでは、戦前と戦後との日本人の比較がなされていますが、その体質は変わっていないと結論づけられています。10年以上前に刊行された本なので一概に鵜呑みにはできませんが、「無責任体質」や「合理的全体計画のなさ」がその一例としてあげられています。

太平洋戦争そのものを見つめなおすことはもちろん、太平洋戦争の「失敗」の中から「なにか」を得ようとされる方にもおすすめです。
(読了:2006年9月5日)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本近現代史
感想投稿日 : 2017年7月23日
読了日 : 2006年9月5日
本棚登録日 : 2017年7月23日

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