都市をたたむ 人口減少時代をデザインする都市計画

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  • 花伝社 (2015年12月16日発売)
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感想 : 28

人口が増加していた時代には、それに伴い都市も拡大してきたが、人口減少期に入り、都市を構成する人が減ってきた。
人口密度が低下した中で、各地域でサービスを展開しても効率が悪い。
その打開策として、サービスを局所化するコンパクトシティのような概念が提唱された。

饗庭先生は、長期的にはコンパクトシティの可能性を認めるものの、短期的にはコンパクトシティは難しいだろうという立場をとっている。
行政がコンパクトシティの方向性を打ち出すことで、長期的には周辺部に住んでいる人たちに対し、家の建て替えなどのタイミングで中心への移行を促す効果はあるかもしれない。
しかし、短期的には現在周辺に住んでいる人に中心への移行を促すだけの動機付けにはならないだろうと。

饗庭先生は人口減少局面では、都市が縮小するわけではなく、都市内のランダムな場所で敷地単位で密度の増減が発生するとし、それを孔に見立ててスポンジ化と表現している。
コンパクトシティが周辺部の低密化・中心部の高密化を志向するのに対し、スポンジ化では低密化した敷地を異なる目的で再利用し、密度の低下を抑えることが提唱されていた。


本書を読んで、一定の地域内に利用目的の異なる土地が混在するというのが、用途地域が定められる前の状態に戻ることとどう違うのかが、いまいち理解できなかった。
あと、阪神淡路大震災の頃の日本は人口拡大期だったけど、東日本大震災は人口減少期に発生したから、これまでの復興をなぞるのではなく、新しい復興の形を検討する必要があるという内容が新鮮だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 勉強
感想投稿日 : 2016年9月19日
読了日 : 2016年9月19日
本棚登録日 : 2016年9月19日

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