ゲームニクスとは何か: 日本発、世界基準のものづくり法則 (幻冬舎新書 さ 3-1)

  • 幻冬舎 (2007年7月1日発売)
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『スーパーマリオブラザーズ』ではスタートした直後、マリオは左端にいる。このことで、マリオを操作するプレイヤーは誰に教えてもらうこともなく、「右にいく」ことを選択する。これは説明されてみると「ああなんだ」と思うかもしれないけれども、実際にモノを作る人にとってそこまで工夫することはあまりなかったりする。

『ドラゴンクエスト』の一作目はプレイヤーを王様の間に閉じ込めることで、プレイヤーに自然とチュートリアルを体験させる。これも有名な話で、ドラクエをテストプレイした子供たちが街や城に向かわずに、いきなり敵と戦って死んでしまうことへの対応策として生まれたらしい。これも「ああなんだ」という工夫だけれど、ドラクエが生まれた当時は、目的も手段も分からないRPGなんてザラだった。

というわけで、説明書を読まないでプレイする子供にも遊べるように設計されたゲームの工夫のことを、作者は「ゲームニクス」と言ってるわけだけれども、この新書は「ゲームニクス」の理論的なところは語られません。むしろ、ゲームニクス的な考えが社会にどう普及していってるかに主眼を置いている模様。それは分かるんだけれども、ゲームニクスそのものの説明が薄いので、知らない人が読めば「世の中がゲーム的になっていくのか~、ふ~ん」としか思わないだろうなぁと。分かっている人に対しては内容が薄く、分かっていない人に対しては誤解を与えかねない内容だと思う。

でも、こういう考え方が広まっているという紹介としては価値がある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2012年4月11日
読了日 : 2012年4月11日
本棚登録日 : 2012年4月11日

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