もう絶版になっていて、『蓬莱学園』そのものもオワコン化してしまっているけれども、10万人の巨大学園が南海の孤島にあって、ほぼ独立国家化して何でもありな様相を呈しているという話は、集合知が作り上げた空前絶後のものだったのだろうなぁと思う。
『蓬莱学園』の小説版は、私が思うに「巨大な物語の終わりの後書き」だったのだと思う。巨大な物語は、もちろんプレイバイメールの『蓬莱学園の冒険』と、そこで語られる90年動乱で、それから生き残った学園の後日譚が語られる。
物語自体は、新入生が突然出会った少女に一目惚れして、彼女を追い掛ける中で騒動が巻き起こる……という良くあるコメディです。でも、そこから学園の闇を抉る話に繋がるところが、作者の新城十馬の才能。私は小説から蓬莱学園の世界に入った口だけれど、これだけの魅力があった世界が、今やあまり語られることがないというのにも物悲しいものがある。
少年の情熱を全肯定する話は素晴らしいなぁという感想。そして、正義は勝つ、という真実が素晴らしい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2012年11月25日
- 読了日 : 2012年11月25日
- 本棚登録日 : 2012年11月25日
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