蓬莱学園の初恋 (富士見ファンタジア文庫 33-1)

著者 :
  • KADOKAWA(富士見書房) (1991年9月1日発売)
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本棚登録 : 107
感想 : 6
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もう絶版になっていて、『蓬莱学園』そのものもオワコン化してしまっているけれども、10万人の巨大学園が南海の孤島にあって、ほぼ独立国家化して何でもありな様相を呈しているという話は、集合知が作り上げた空前絶後のものだったのだろうなぁと思う。

『蓬莱学園』の小説版は、私が思うに「巨大な物語の終わりの後書き」だったのだと思う。巨大な物語は、もちろんプレイバイメールの『蓬莱学園の冒険』と、そこで語られる90年動乱で、それから生き残った学園の後日譚が語られる。

物語自体は、新入生が突然出会った少女に一目惚れして、彼女を追い掛ける中で騒動が巻き起こる……という良くあるコメディです。でも、そこから学園の闇を抉る話に繋がるところが、作者の新城十馬の才能。私は小説から蓬莱学園の世界に入った口だけれど、これだけの魅力があった世界が、今やあまり語られることがないというのにも物悲しいものがある。

少年の情熱を全肯定する話は素晴らしいなぁという感想。そして、正義は勝つ、という真実が素晴らしい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2012年11月25日
読了日 : 2012年11月25日
本棚登録日 : 2012年11月25日

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