神の火(上) (新潮文庫)

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本棚登録 : 1425
レビュー : 112
著者 :
maruzo1さん 感心した本   読み終わった 

高村薫さんの本はディテールが細かい。時にそれが苦痛になって読み飛ばしてしまうときが多い。
しかし、この人の書く大きな流れが好きでお気に入りの作家の一人だ。

この本はなぜか手を出していなかったのだが、
多くの人が書いているように 福島第一原発の事故がおこって 読まなきゃと思った。

『純粋な理論と人間の良心を信じた原発の存在が、現実世界の悪意と暴力の前でどれほど矛盾に満ちているかを、見つめるべきだ』
この本の本質を一行で描くとすればこの文章になるだろう。

911テロ・第一原発事故をみれば、人間が“神の火”を完全に制御できるわけなど無いのだ。仮に津波から完璧に防御できたとしても911のようなテロも前にはなすすべもない。

そうした人間のおごりを今回の地震で万人がかんじたことであろうが、
広瀬隆「東京に原発を! 」ほど理屈っぽくなく
エンターテイメントの枠組みの中で、それを理解させてくれる小説だ。

それにしても、一流の作家の取材力には舌を巻く。

レビュー投稿日
2011年6月4日
読了日
-
本棚登録日
2011年6月4日
2
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