民主主義とは何なのか (文春新書 191)

  • 文藝春秋 (2001年9月20日発売)
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民主主義(デモクラシー)は本来「いかがわしい」制度である。
民主政(デモクラティア)と僭主政は「民衆(デーモス)の力(クラトス)」を束ねるという意味で近しいものであり、プラトンいわく民主政こそが僭主政を生み出す。
民主政登場の物語は古代ギリシアの時代から常に血と革命をともない、「不和と敵対のイデオロギー」を内包している。その「不和と敵対のイデオロギー」を現在もっとも純粋に継承しているのが「国民主権」であるうんぬん。。。
かつて英国首相チャーチルは「民主主義は最悪の政治形態である」と言い放ったが、私たち日本国民は民主主義についてどのような印象をもっているだろうか。
マスコミや政治家の間ではいまだに「民主主義万歳」、「国民の声を政治に反映させることが民主主義である」、「日本の政治がダメなのは民主主義が実現されていないからだ」といった言説が飛び交っている。
果たしてそれは本当だろうか。民主主義とはすばらしいものなのだろうか。普遍的なものなのだろうか。
もしかすると私たちは民主主義という代物について何もわかっていないのではないだろうか。何も知らないままに「いかがわしい」制度を使っているのではないだろうか。
古来日本には「十七条の憲法」や「憲政の常道」があったはずだ。
民主主義の危機が叫ばれる今こそ、日本の伝統を再発見し解釈しなおす本当の意味での「維新」が求められている。

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感想投稿日 : 2012年10月13日
読了日 : 2012年10月13日
本棚登録日 : 2012年10月13日

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